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みなさんこんにちは! 筧田 聡 (@kakehida) です。
今回は、思い通りに自分を動かせるようになるための前提知識として人間の3つの脳を確認していきたいと思います! この記事を通して、 脳の構造をざっくりと理解することで、 自分の習慣・癖を変えやすくなります。
ちなみに今回、 話の中心となる理論 (仮説) は「脳の三位⼀体論」というものです! それでは詳しく見ていきましょう。
1. 脳の三位⼀体論とは?
「脳の三位⼀体論 [Triune brain]」とは、米国⽴精神衛⽣研究所の脳進化学者 ポール・マクリーン博士 [Paul D. MacLean] が1960年代に提唱した理論です。
・⼈間の脳は、おおよそ3層構造を持っている
・既存の脳構造を保ったまま新しい脳領域を獲得し、地層を重ねるように発展してきたという仮説です。
早速ですが、この話をインプットする前に、この理論への指摘を確認しておきましょう。
参考: 脳にある「爬虫類脳」を使って成功をつかむ!は間違いだった [2018]
2. 脳の3層構造と、各層の働きとは?
この仮説では、脳は主に 「爬虫類脳」 「哺乳類脳」 「人間脳」 という3層 (3領域) 構造になっているとされています。 私たち人間の脳は、人間の進化の歴史に沿って、高度な機能を順に獲得してきたと考えられています。
進化の流れからすると、獲得した順は ①爬虫類脳、 ②哺乳類脳、 ③人間脳 となります。
① 原始爬虫類脳 (反射脳)
爬虫類脳は、脳の一番奥深くにある大脳基底核、脳幹、脊髄の働きを意味します。
主に生命維持や反射の機能や本能を司ります。 いわゆる生きるために必要な脳です。
例えば無意識に行われる呼吸・体温調節、危険に対する反射行動 (防衛本能) はこの脳領域による処理です。 他にも食欲、性欲・求愛、睡眠欲、支配欲、挨拶はこの領域の働きとされています。
また「新しいことよりも過去の経験則を優先する」という働きもあります。 いわゆる、「これまで通りしておけば安全やないか!」というやつですよね。 この働きは、人間の新しい挑戦を邪魔するもので……起業者にとっては、敵ですね (笑) そういう変われないおじさんがいたら、爬虫類おじさん!!!って言っちゃいそうです。 気をつけます。
1990年に出版された博士の著書『The Triune Brain in Evolution [三つの脳の進化] 』では、私たち⼈間に起こる衝動は、爬⾍類から継承された反射脳によって⽣まれると解説されています。
関連情報: 爬虫類にレム・ノンレム睡眠はない? 進化の過程から睡眠を考える
② 旧哺乳類脳 (情動脳)
哺乳類脳は、大脳基底核を覆うように位置している大脳辺縁系 (扁桃体、海⾺体、帯状回) の働きのことです。 情動「原始的な感情」を司ります。
例えば「好き嫌い」や「快・不快」を感じるのはこの領域です。 喜び・愛情・怒り・恐怖・嫌悪ですね。 この脳領域の働きを目で見るなら、自然な表情の変化が参考になります。 他にも、所属感、守ろうとする気持ち、攻撃しようとする気持ちはこの領域による働きです。 群れ (チーム) での行動、子育て、母性もこの哺乳類脳によるものです。
結果として「好き・快を求めるため、関わりたい気持ち」「嫌い・不快を避けるため、関わりたくない気持ち」を生み出します。
③ 人間脳 (思考脳)
人間脳とは、脳の1番外側にある大脳新皮質の働きを指す言葉です。 思考「物事を論理的に考える機能」を司ります。 例えば、言語機能、学習能⼒、創造的思考能⼒、空間把握能⼒です。
「良し悪し」や「損得」を考えるのはこの領域です。 例えば、「お酒は好きだけど、控えてます」というのは、人間脳の為せる技です。
また「成長したい・目標達成したい気持ち」を生み出します。
参考: 爬虫類脳・哺乳類脳・人間脳|3つの脳の構造でわかる人間の三大欲求
3. 3つの脳の影響力の大小関係
※進化の流れの中で、 獲得してきた順に影響力が強い
人間は、 爬虫類脳に抗えないことを理解しておきましょう。
実際に体験したことありますよね、 「いくら論理的に正しくても、本能や感情が拒否するものは受け入れられない」 「頭ではわかっていても行動できない」 ということが。 これって、人間脳と爬虫類脳や哺乳類脳との対立によって起こっているんですよね。 対立すると、感情や本能が勝ってしまう。
また私たちの日々の様々な行動は、ほとんどの場合、爬虫類脳や哺乳類脳の影響を受けています。 論理的に考えて判断して行っていると思っているかもしれませんが、多くの行動は、「感情が先に反応し、その後で理屈を付ける」という流れで行われています。 まずこのことに気づくことが重要です。
4. 人間脳を優位にするために……
脳のそれぞれの領域が対立すると、葛藤を生みます。
・危険・不安を感じたら、人間脳や哺乳類脳を無視して優先的に身体が反応します。
こんな風に、考えて判断したことと実際の動きが違うっていうのは、本人にとってめちゃくちゃ辛いことです。 周りからは「なんでできない?」のと他者から言われ、自分自身にも言ってしまう日々。 博士も、「この3つの脳が同居していることが人間の苦悩である」と言っています。
そのため、 人間脳が爬虫類脳と哺乳類脳をうまく制御できることが、人生や日々の活動において超重要 です。 この対立を収める案を人間脳が見出すことで、爬虫類脳と哺乳類脳を制御できるようになります。 哺乳類脳・爬虫類脳に邪魔をさせず、如何に人間脳の味方にするかということです。 それができれば、脳の各分野が連携・協力でき、意図した習慣を無理なく身に付けられるようになり、目標を達成したり、理想的な日々になったりすることで、人生が変わっていきます。
・危険・不安を回避した上で、
・「自分の望む動き」と「自分の快感・好きな気持」を結びつけて
いくことです。
5. 3つの脳、全てに沿う提案【悪用禁止】
※自分にも他人にも使えます。
※食欲、性欲、睡眠欲、支配欲、挨拶、安全、安心
情動脳には、直感的に好きなものを与え、嫌いなものを遠ざける
思考脳には → 判断的に良いもの・利益になるものを与え、悪いもの・不利益を遠ざける
まとめ
いかがでしたでしょうか? この記事を参考にしていただき、3つの脳の対立を治め、制御し、連携・協力させることで、思い通りに自分を活用してみてください。
ではまた、互いにより強化された状態でお会いしましょう。 筧田 (@kakehida) でした!
関連書籍: 脳はいいかげんにできている: その場しのぎの進化が生んだ人間らしさ [David J. Linden, 2017, 河出文庫]
このように「三位一体脳論」は、2000年代以降の多くの⽐較神経学者によって、領域とその働きの切り分け方や、哺乳類脳が哺乳類だけのものではない点などが否定されています。 (この理論が指摘されている点として、脳の働きは部位に対して明確に切り分けられているものではないということ)
ただし、脳の構造・特徴を理解しやすいモデルであることから、 「この指摘を理解した上で、人間の脳の性質を学び、有効活用していきましょう!」 というのがこの記事の趣旨です。