井畑です。
専門性の高い人の話はだいたいつまらないんです。僕はこれを大学で5年間かけて教えてもらいました。
なんでつまらないかっていうと、「抽象的」なんですよね。本質的な話は抽象的すぎて「あれも、これも、原因は結局全部ここ!」って名言みたいに話をするんですが、念仏を聞いているようです。僕はこれを「本質の罠」って呼んでいます。10分くらい前に命名しました。
今回の記事では、なんで「本質の罠」に陥った話はつまらないかの理由と、そこからの脱出方法をご紹介します。
専門性が高まれば高まるほど、「本質の罠」に気をつけたほうがいい。
つい「あれも、これも、結局原因は1つだからこれをやればいいよ!」って言っちゃうのが「本質の罠」です。
この伝え方、残念ながらほとんどの人に「念仏」と同じように聞こえます。
— 井畑太佑 Key-Performance inc. (@ihata1567) May 27, 2020
なぜ抽象的な話はつまらないのか?
僕たちの脳が話を面白いと感じるシステムを考えれば、抽象的な話がいかにつまらないかがよく分かります。
脳が「面白い!」と感じるシステム
僕たちには「知的欲求」というものがあります。文字通り「知的なもの(知識)」に対する「欲求」です。知的欲求は「ものが欲しい」とか「セックスをしたい」とかの他の欲求と同じでメカニズムで作用します。つまり、情報を手に入れると人間の脳はドーパミンを分泌し、興奮状態になるのです。
ですが、どんな知識でもいいというものではありません。例えば僕だったら「新型MacBook」についてはめっちゃ興味ありますが、「今年の夏の新コスメ♪」みたいなものには全く興味がありません。
知的欲求というのは、2段階で働きます。1つは実際に知識を得た時。もう一つは「新しい知識を得られるかも知れない!」と期待した時です。この新しい知識への期待が「興味」という感情となって現れます。そして、新しい知識を得られるという期待は、他の情報との結びつきが多ければ多いほど強くなります。
つまり、「すでに自分の知っていること」や「自分の興味がある分野」、もしくは「自分の悩み事」と関連する情報に対しては、強い興味をもち、話を「面白い!」と感じるんです。
抽象的な話は知識の繋がりが薄い
子どもに勉強を教える時の事をイメージするとわかりやすい。
子どもは経験が少ないから「抽象的な考え」が出来ない。だから、手に取れる教材やイラストや具体例で、頭の中に「イメージ」を作って上げる。
大人が抽象的な考えが出来るのは、経験を通して頭の中に「イメージの蓄積」があるから。
— 井畑太佑 Key-Performance inc. (@ihata1567) May 27, 2020
つまり抽象的な事を言われても対応出来るのは、経験から具体的イメージを引っ張り出せるから。
でも、専門性が高い分野ではそれまでの経験がないので、抽象的な事を言われてもイメージを引き出すことが出来ない。
よって、「念仏」を聞いている状態になる。右から左へさようなら。
— 井畑太佑 Key-Performance inc. (@ihata1567) May 27, 2020
僕たち人間はそもそも抽象的な話っていうのが苦手なんです。
抽象的な話は現実の事象の上澄みの共通点を抽出して公約数になる要素を体系化したものなので、日常の知識との関連が薄いんです。←この文章もかなり抽象的な内容で書いたんですけど、めっちゃわかりにくくないですか?
大人の場合は、今までの経験を当てはめる事でその抽象的な話を自分のなかにある経験と結びつけることで理解しますし、興味を持つことが出来ます。
ですが、専門性の高い話や精神論的な話は日常生活の中での経験のストックが少ないです。
自分の中の知っている知識との関わりが少ないってことは、「つまらない話」になるんですよね。だから内容も全然入ってこない。内容が入ってこないから、ドーパミンも分泌されない。
これが、抽象的な話がつまらない理由です。
専門家の主戦場は「いかに面白いコンテンツ」を作れるかどうか。
僕も含めて、「専門家」と言われる人たちのこれからの主戦場は「いかに面白いコンテンツ」に出来るかどうかです。
これは別に笑いを取りに行けって話じゃなくて、見る人が「もっと見たい!」と思ってくれるコンテンツのことです。ちなみに下の動画は僕が大好きなYouTuber「in living.」さんが僕がめっちゃ注目してたカメラを紹介しています。これ、「お笑い」的な要素はないですが、僕にとってはすごく「面白い」コンテンツです。
要は、僕たちの専門知識とお客様の今の興味をいかに結びつけられるか。お客様の日常に入り込み、いつも持っている知識と結びつけるもよし。思いっきりぶっ飛んだコンテンツを作って、お客様の「過激で面白かった知識」と結びつけるもよし。
とにかく、いかに自分の発信する内容がお客様の興味とマッチングするかを検討し続けるのがこれから僕たち専門家に求められる事です。
実際に「知識に具体的イメージを肉付けして配信」しているのがメンタリストDaiGo。
彼より知識のある人はたくさんいるし、実際今は調べ物は外注している。
でも、話の構成と内容がわかりやすいから結局「DaiGoスゲ〜」ってなるし、DaiGo自身もそういう戦略でやってるって公表している。
— 井畑太佑 Key-Performance inc. (@ihata1567) May 27, 2020
まとめ:「本質の罠」にとらわれることなく、面白いコンテンツを作ろう!
「本質の罠」にとらわれることなく、聞き手がイメージをしやすい発信を出来るかどうかが今後の専門家に求められる能力。
そこから逃げるのはオナニーと一緒。自分だけ気持ちいい発信をしても、誰にも価値を提供出来ない。
— 井畑太佑 Key-Performance inc. (@ihata1567) May 27, 2020
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お笑いの基本は「ボケ」と「ツッコみ」だそうです。映画「漫才ギャング」の中で佐藤隆太が「人がツッコみたいと思ったことと同じ内容を0.5秒早く突っ込むと笑いが生まれる」的な事を言っていましたが、まさにそうだなと。
原始時代の人間にとって、「失敗」をする事は「死」を意味しました。だから、失敗を見つけることはそれだけで価値があったし、失敗を見つけ出す事が得意な遺伝子が残ってきたと考えられています。なので「失敗」を見つけると「笑い」というご褒美を与える遺伝子が生き残り、今の「ボケ」と「ツッコみ」で笑いが生まれる人類になったようです。(諸説あり。)