僕たちは他者に必要とされないと生きていけない。だから人間観察をする。

井畑です。

人間は「他者から認められたい」という気持ちが標準装備されています。承認欲求ってやつですね。

この標準装備、じつはロブスターとかにも同じようなものが備わっているんです。

「他者から認められたい」って欲求は、種としてより優秀な個体を残そうという種としての遺伝子レベルでの生存戦略だったんです。

一度負けるとずっと負けるシステム。

みなさん、ロブスターご存知ですよね。超大きくて食べると美味しいエビです。

さあ、このロブちゃんたちなんですが、縄張り争いやメスを奪い合う争いを絶えず行います。当然喧嘩に勝ったロブちゃんはいい縄張りや子孫を残す機会に恵まれ、負けたロブちゃんはそこで滅んでいく。だからロブスター同士の喧嘩はより強い子孫を残すためにとても重要な仕組みなんです。

でも、これはあくまでロブスターの生存がロブスター同士の戦いにのみ左右されている時の話。ロブスターは周囲の環境や別種との食うか食われるかの戦いにも勝っていかないといけません。ロブスター同士の戦いに勝利しても、別種との戦いに負けて死んでしまっては、せっかく選別された優秀な遺伝子が失われてしまいます。

なので、ロブスター種全体の事を考えると「優秀な個体が同種同士の戦いで傷つかないシステム」が必要なんですね。

負けたロブスターに用は無い。

このために、ロブスターの体には2つのシステムが組み込まれています。

一つ目は、喧嘩の前に体液スプレーを発射しあいます。このスプレーにはお互いの交戦意欲やその時の体調などの情報が含まれます。この情報をもとに「あっ、こりゃ勝てないな」と思った側はスッと身を引きます。不戦勝を設ける事でお互いの肉体的消耗を抑える作戦ですね。

もう一つは、勝った側と負けた側のそれぞれに起こる脳の変化です。

勝った側のロブスターの脳では「セロトニン」という物質が多く放出されるように変化します。セロトニンが多く分泌されているロブスターは好戦的になり、体はシャンと伸びて大きく見えるようになります。人間でいう「自信が溢れている」状態になるんですね。

逆に負けた側のロブスターは「オクトパミン」という物質の分泌量が増えます。オクトパミンの分泌量が増えたロブスターは逃げるスピードが上がり、僅かな刺激に対してもすぐに反応するようになります。「負け犬」の状態になるんですね。

※勝ったロブスターは「高セロトニン・低オクトパミン」に、負けたロブスターは「低セロトニン・高オクトパミン」になります。

この2つの仕組みにより、「一度勝ったロブスターはより勝ちやすく、一度負けたロブスターはより負けやすく」なります。種全体としてはより効率的に強い遺伝子を残せるようになるんですね。

ロブスターだけの話じゃないですよ。

ここまでだと「ダーウィンが来た」の世界の話で終わってしまいますが、この話は人間にとってもとても重要なんです。

先程ロブスターの脳は「セロトニン」と「オクトパミン」の影響を受けているといいましたが、全く同じ物質が人間の脳でも機能しています。

例えばセロトニンの分泌量が減ると、人間は自信を失い、ストレスに過剰に反応し、体は常に緊張状態になります。幸福感は減り、病気にかかりやすく、寿命が短くなるなど、生存にとってマイナスの要素が非常に増えるわけなんですね。

そして、ロブスターの脳と人間の脳の神経細胞の構造は同じであり、また強いショックや敗北、挫折の経験などによりセロトニンの分泌量が減るという研究結果も出ています。PTSD(心的外傷ストレス性障害)なんかもこれです。

つまり、人間にも「勝者はより勝利しやすく、敗者はますます泥沼にハマっていく」というシステムが組み込まれているんですね。

実際、今の人間社会はまさにこの通りになってますよね?今の世界の富の約50%は、上位62人が所持しているという恐ろしい調査結果もあります。人間はこの話をもっともっと前から理解していて、例えばキリスト教の聖書の中の「マタイ伝」では「持っている者は与えられていよいよ豊かになり、持たざる者はわずかに持っているものまで取り上げられるであろう」という記述があります。

セロトニンの分泌を左右する要素は何か?

セロトニンの分泌量によって、人間も種全体としてより効率的に強い遺伝子を残せるようなシステムになっています。

では、人間はどんな要素でセロトニンの分泌量が左右されるのでしょうか?

人間のセロトニンコントロールシステムは「自分が社会的にどの立場にいるか?」ということを常にチェックしています。

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社会的に上位であれば規則正しい生活ができ、何か問題があっても周囲には助けてくれる人が存在し、生存が危ぶまれる機会もほとんどありません。また、周囲の人間は常に自分に対して尊敬の気持ちを向けてくれます。生存に対して過剰に心配をする必要が無いので、常に体をリラックスした状態で保てます。

一方社会的に下位の場合は常に危険が隣り合わせです。生活は不規則であり、困っても誰も助けてくれず、生命の危険をいつでも感じている。周囲の人は自分の価値を認めてくれず、誰からも必要とされません。生存が危ぶまれているので、当然常に過剰な警戒をし、心身をすり減らしていきます。

つまり、セロトニンの分泌を左右する代表的な要素は以下のようになります。

①生存が危ぶまれないかどうか?

 ・規則正しい生活が送れている(食事・睡眠)

 ・何かあっても助けてくれる人がいるという安心感がある

②社会的に必要とされている

 ・自分のやりたいことや生まれた意味を知っている

 ・異性から興味を持たれる

 ・他人からの期待を寄せられている

この要素が逆になるとセロトニンの分泌が減少するんですね。

①の要素に関しては自分である程度コントロールすることが出来ます。睡眠の時間を規則的にしたり、過度な糖質の摂取を制限したり、社会保障の内容を理解することで改善します。

ですが、問題は②の要素です。

人間は他者に必要とされないと生きていけない

①の要素は自分で解決出来る部分が強いですが、②に関しては「他者からの評価」によって決まる部分が非常に強いです。

なので、現在の日本で健康に人間らしく生きようと思ったら「他者から認められる」事が必要不可欠になります。(実際、セロトニンの分泌が鬱病の原因ではないかという説もあります。)

だから、僕たちは周囲の人間に喜ばれ、必要とされる人にならないといけない。道徳の授業ではよく「他人の事を考えられる人になりましょう」と言うけど、実はあれは自分のためになるんです。

「自分がやったことが他人の役にたった。自分は生きていていいんだ。」そう自分が感じられれば、セロトニンが分泌されます。一度セロトニンが分泌されれば笑顔になり、背筋が伸び、自信がつきます。そうするとますます人の役に立つチャンスが巡ってきます。

そのポジティブなループを回していく事が成功の鍵です。人間は種として生き残るために、種全体の役に立つ個体を残すようのプログラムされています。それに逆らう事はできないのだから、むしろそのプログラムを自分の役に立つように使っていきましょう。

日常生活においては人間観察が重要

でも、社会貢献といっても実際には難しいですよね。パッと思いつくのは「ボランティア」とかですが、忙しい人はなかなかその時間も取れないし、チャンスも限られている。

 

起業や独立をしている人は「人に価値を与える」事が前提なので取り組みやすいですが、みんながみんなそう出来るわけでもない。

 

そこで重要なのが「人間観察」です。周囲の人がどんな気持ちや行動原理で生きているのか?何を普段望んでいるのか?どんな事をしてもらうと嬉しいのか?相手を観察して分析します。

人間観察サロン™ トップ画像

 

普通に生きていると他人には気づいてもらえない部分が見えると、セロトニン分泌の大きなチャンスです。「こんな事気づいてくれるなんて!」ととても感謝されますし、「あの人はすごく自分を大切に見てくれる特別な人」という評価も得られます。

 

この「特別な人」という評価は承認欲求的に最高のものなので、セロトニンがガンガン分泌されます。

なので、日常生活の中でセロトニンの分泌量を増やして社会的に高い地位にいると確信するためには人間観察が超重要なんです。ぜひ日常の中の人間観察の量を増やし、「特別な人」としての地位を勝ち取ってください。

この記事を読んだ後にやって欲しいこと

①自分自身で、自分の社会的地位はどのくらいだと認識しているか考える。

②食事や睡眠は安定しているか確認する。

③「他人から必要とされている」という実感を持てているか振り返る。

④周囲の人を観察し、欲しがっているものややって欲しいことを分析する。

⑤上で分析したことを実行する。

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