こんにちは、井畑です。
「あなたの強みはなんですか?」と聞かれて、あなたならどう答えますか?
人と話すのが億劫にならないコミュニケーション力?
文章を書くのが上手?
アイディアをいくらでも思いつける?
起業家として覚えておかなければいけないことは、自分が「強み」だと思っているものが、「仕事で成果を出す能力」なのか「ただの才能」なのかということです。
強みと才能の違い
この手の話は言葉をどう使うかによってすごく曖昧になるので、ここでは最初に言葉の定義から始めます。
自分の中でやっていても苦にならないこと/自分が自然に出来ること
例:人と話すのが好き・メールの返信がマメ・読書が好き・お願い上手等
ここで明確に区別されなければいけないのが「仕事で成果を出せるかどうか」、言い換えると「他者に対して影響を与えられるかどうか」ということです。
英語では「強み」と「才能」はそれぞれ「ストレングス(Strength)」「タレント(talent)」と言います。
ストレングス(Strength):強さ・能力・頼みに出来る点。
タレント(talent):ある個人の素質や訓練によって発揮される、物事をなしとげる力。
才能だけでは意味がない
強みと才能をベン図で表すと次のようになります。
「才能」は「自分が自然と出来ること」ですが、その中でも「仕事で成果を出す能力」のことを「強み」といいます。
つまり「才能」の進化系が「強み」なんですね。才能を磨いていくと強みになるとも言い換えられます。
逆を言うと、どんなに才能があっても他者に影響を与えるレベルになっていないと意味がないんですね。
才能の磨き方
才能を磨くと強みになるとお伝えしましたが、具体的にはどうすればいいのでしょうか?
才能を強みにするには「知識」や「スキル」をかけ合わせるしかありません。
その分野ですでに「再現性」が認められている情報や能力。
具体例に落とすとこんな感じです。
「才能:人と話すのが好き」×「知識:相手の困り事を引き出す質問」=「強み:営業力(問題発見能力)」
「才能:読書が好き」×「スキル:効果的に自分の考えを人に伝える力」=「強み:情報発信力」
「才能:メールの返信がマメ」×「知識:人間が行動しやすい時間帯」=「強み:スケジュール監理能力」
起業家にとって間違った強み
ここでもう一つ。僕ら起業家にとって間違った強みの身に付け方があります。
次に紹介する一節は、ウィリアム・S・ギルバートと、アーサー・サリバンのコンビが1879年に発表した喜劇歌「ペンザスの海賊」の中の「近代少将の鑑」という有名な早口歌です。
私が近代鉄砲の進歩について学んだなら、
女子修道院の見習いより多くの戦術を知ったなら、
つまり、戦略の初歩をかじったとすれば、
みな言うだろう。すぐれた少将は決して馬にまたがりはしないと。
……私は勇敢だし冒険好きだが、軍事については今世紀初めより前のことしか知らない。
この歌は登場人物のスタンリー少将が、歴史・科学・芸術などの幅広い分野の知識をひけらかした後、最後に「軍事に関する知識」、つまり自分の仕事に関連する知識が欠落していることを打ち明けた時のものです。
もうおわかりですね。この少将はたしかに自分の「才能」に「知識」をかけ合わせました。ですが、そこで得られたのは自分の仕事に影響を与える事のない、間違った「強み」でした。(強みの定義は「仕事で成果を出す能力」なので、厳密には「強み」とも言えませんね。)
つまり、才能に掛け合わせる知識やスキルは「仕事での成果に繋がるもの」でなければいけなんです。
時代に置いていかれた強み
今まで強みだと思っていたものが時代に置いていかれて逆に足を引っ張る場合もあります。
第二次世界大戦の日本海軍はまさにその典型です。日露海戦でロシアの「バルチック艦隊」を打ち破った日本は艦隊決戦に絶対の自信を持っていました。また、戦闘の勝敗を決するのは艦隊決戦であるとも考え、艦隊決戦の強化にさらに資本を投入して行きました。
しかし、第二次世界大戦はすでに航空機による戦術が成果を上げている時代。どんなに艦隊を強化しても航空機中心の敵には対抗出来ませんでした。そればかりか、「戦闘の勝敗を決めるのは艦隊決戦」との思い込みから抜け出せず、時代遅れの戦略を取り続けました。(この辺の話は名著「失敗の本質」に詳しく書いてあります。)
このように、かつての強みも時代や環境に適さないと強みとならないばかりか、逆に自分の弱みになりかねません。
強みが強みであるためには「環境に適していること」が必須の要件なんです。
まとめ:強みを式で表すと
こんな感じになります。
起業家ならぜひ
- 才能だけで満足していないか?
- 成果を出すのに必要な知識・スキルが身に付いているか?
- 環境・戦略にしっかり適応しているか?
についてこだわりとプライドをもってみて下さい!
『仕事で成果を出す能力』
例:高いプレゼン技術・営業力・ストーリー構成力・報連相の徹底・スケジュール管理能力等