皆様、どうも今日は!
起業茶屋 主催者の筧田 聡です。
今回は、これからの時代に大きく関わるIoTの意味についてです。昨日行われた茨城起業茶屋でも話題になったのですが、知らない方もいたので、ここで分かりやすくお伝えしていきます。
まず最初にIoTの読み方をお伝えしておきます。読み方は『アイオーティー』です。えるおーてぃーとかあいおーてーではありません。
IoTとは何か
従来、インターネットに接続していたのは、コンピュータやスマホなどの情報通信機器や端末だけでした。しかしIoTの世界では、『モノ自体に通信機能を持たせ、モノ同士をインターネットでつなぎ、情報をやり取りさせることで、今までにない水準の把握や遠隔地での操作、自動化を実現しよう』という話なのです。
IoTを略さずに示すと「Internet of Things」です。これを直訳すると「モノのインターネット」ですよね。類語に、IoE (Internet of Everything)があります。IoEはIoTとほぼ同じ意味で使われています。他にも、機械同士の通信をM2M(Machine to Machine)と言ったりします。
簡単に説明しましたが、まだIoTってわかりにくいって思っている方もいらっしゃると思います。その分かり辛い理由の1つに、モノの定義が曖昧・不明確なことが挙げられます。なので次に、IoTによって具体的にどんなものがつながるのかをお伝えします。
IoTでつながる3つのもの
人・端末
PC、スマホ、携帯型端末、ディスプレイ(モニター)、スピーカー
端末装置を通して人と情報はつながります。これから五感に関わる機器も登場してくると思います。香り、肌触りなど、聴覚や視覚以外も味わうことができるようになっていく。楽しみですよね(笑)
機械・システム
クラウド、ビッグデータ、AI、センサ、計測器・測定器、工場生産ライン、ロボット、金融システム、物流システム、列車・バス運行システム、工具、防犯・監視カメラ、在庫管理システム、アトラクション
センサや計測器を使って情報を取得し、インターネット経由でクラウドにデータを蓄積(例:ビックデータ)、それを分析して、場合によってはAI(人工知能)を活用して、その分析結果に応じて作動する。IoTに関わる情報はシステムを軸に流れていきます。
モノ
家、ドア(鍵)、ペット、植物、車・自転車、レジ、ベット、道路、衣服、エレベータ
AV・PC系(プリンタ、カメラ)、白物家電系(テレビ、冷蔵庫、掃除機、空調設備)、住宅設備系(水道、トイレ・バス・キッチン)、エネルギ系(窓・カーテン、電球、太陽光発電、ガス・電気、スマートメータ)
ここで言うモノのことを、特にIoTデバイスと言います。
具体的なモノを3つのカテゴリーに分けることで、IoTに対して今まで以上に理解が深まったでしょうか。もう一度、IoTの意味を確認しておくと、人と機械・システムとモノをつなげることで、今まで以上に「 把握(見える化)、遠隔操作、自動化(自動制御・自動改善)を実現しましょう!」という話なのです。
IoTで把握するもの
位置(開閉やON/OFF)、動き、環境・状況・状態
これらの情報を把握することによって、高度な遠隔操作や自動化が実現します。
IoTの事例
私たちはIoTを使って、どんな社会を実現していくのでしょうか。
例えば、自動車の位置情報をリアルタイムに集約して渋滞を正確に把握できるシステム。
他には、人間の検針員に代わって電力メーター自体が電力会社と通信して電力使用量を申告するスマートメーター。
大型の機械などにセンサーと通信機能を内蔵して稼働状況や故障箇所、交換が必要な部品などを製造元がリアルタイムに把握できるモニタリングシステム。
タッチパネルの操作で買い物と支払いが完了する冷蔵庫
タービンエンジンのIoT化によるメンテナンス最適化と燃料削減
こういったものの実用化が進んでおります。こういった技術の変遷期には、起業家のアイデアが重要で、社会を変えていく起点となります。
IoTの活用と普及
IoTを活用するかの判断は、IoTの一連の機能が従来活動よりも良い選択肢かという点です。要は、IoTを取り入れることがコスト削減や利便性につながっているかです。現状は、まだ仕組み化しきれていない面や実用例が少ないです。しかしこれからIoT関連の技術やサービスが発展して、IoTの一連の機能が良い選択肢となっていけば、自然と普及しますよね。そうすると提供コストも下がるので、どんどん良い選択肢となっていくでしょう。
普及状況を数字で追ってみましょう。2013年時点で約158億個のIoTデバイスが世の中にあります。これが2020年には約530億個まで増大すると予測されています(ガートナー社の発表は300億個以上、シスコやIBMは500億個超)。世界のIoT市場規模について、IDCは、2014年の約6,500億ドルから2020年には1.7兆ドルになると予測。またシスコは、IoEによって2013年から2022年で14.4兆ドルの経済価値を生み出すと推定しています。(いずれも出典は『平成27年度情報通信白書』)
IoTの課題
IPアドレス(IPv6)への対応
モノに通信機能を持たせることによって、インターネット接続機器の数が激増します。既に不足状態のIPv4アドレス空間が、使用できなくなる可能性が高いのです。このため、IPアドレスの数を拡張させたIPv6への対応は必須となります。同時に、アプリケーションなどソフト面のIPv6対応も求められます。
データ量の爆発的な増加
モノが取得する情報量の増加に伴って、使用データ量が爆発的に増加します。これに社会は対応できるのでしょうか。ムーアの法則と併せて考えると、面白いかもしれません。
無線規格
問題になるのは、接続端末数の多さです。つまり無線・電波の周波数帯域での混線への対応が必要となります。IoTでそれぞれが通信させるデータ量は、小さな場合がほとんどになりそうです。そのため、使用するのは広帯域(ブロードバンド)ではなく、狭帯域通信(ナローバンド)を使用できるので、使用帯域を小さく抑えるという意味でもナローバンドの利用が基本となるでしょう。
ちなみに、モノの電源確保も大きな問題となっており、大量の電力を消費するブロードバンドはIoTの世界に向いていないとされています。
相互運用性
IoTは他のモノと相互運用できることが前提となります。相互運用をしようとすると、これまで以上に手間がかかってしまことは事実です。またどこまで他のモノと互換性を持たせるかというのも難しい点でしょう。
セキュリティ
近年、サイバー攻撃件数は減少しているものの、IoTデバイスの増加に伴ってサイバー攻撃が再び増加することが予想されています。それはそうですよね。インターネットに接続できる端末が増える中で、セキュリティ対策が手薄なものが相当数あるでしょうから。
リアルタイム通信
リアルタイムで観測するため、通信が途絶える事態への対応を考える必要があります。例えば抜けてしまった情報をどうやって処理するかや情報の漏れを出さない工夫とか。
情報の利用・分析方法の設計者
ビックデータ(情報)の利用や分析システムを設計する人が不足しています。また自律学習システムの開発が進んでおりません。
広く対応できる技術者
IoTは幅広い知識を持ち広範囲に対応できる技術者(エンジニア)を必要としています。情報について言えば、アプリケーション開発からデータ通信、ネットワーク、サーバ、データセンターまでです。しかし広く対応できる技術者が不足しているために様々な技術の統合や標準化が進んでおりません。
開発の多重化
デバイス毎に開発が進められているため、IoT全体として開発効率が悪くなっているのが現状です。できることなら早い段階で主要規格が登場し、競争によってディファクトスタンダード(結果として現れる事実上の標準規格(例:HD-DVDと争ったBlu-ray))が決まることが消費者のみならず開発者にとっても望ましいかもしれません。(IoTは新規の技術革新というよりは融合による技術革新のため)
電力共有(バッテリー・非接触型電力供給)
IoTデバイス増加に伴う使用電気量増加への対応が必要です。また端末の低電力化、バッテリーの長時間使用と長寿命化の技術、また非接触型電力供給の技術が求められています。
人的ミスへの対応
人的ミスによるシステムエラーが多発しております。対策が必要でしょう。相互運用されていたり遠隔地での操作であったりするので、致命的な問題につながる可能性も出てくるため要注意です。
IoTに関するオススメの本
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2015年は、IoT元年と呼ばれています。これからどんなものが生まれてくるのか、私はとても楽しみです!
“ いいものだらけ ”の世の中へ。
代表取締役 CEO
筧田 聡 Satoshi Kakehida
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