地域起業家が押さえるべき、地域の競争優位性

こんにちは、井畑です。

「この地域のために」って目的をもって起業される、いわゆる「地域起業家」の方が増えてきています。

ただ、残念な事に地域起業家の方は、地域への想いが熱いのにも関わらず、その地域で「見逃してはいけない競争優位性」をすっかり見逃している場合が多いです。

この記事で得られる情報
  • 競争優位性とはなにか?
  • 地域で優位性を作るために見逃してはいけない要素とは?

なぜNetflixは9900億円も新規コンテンツの制作につぎ込むのか?〜競争優位性とはなにか?〜

競争優位性の話の導入として、Netflixの話をさせて下さい。

GAFA(Google,Apple,Facebook,Amazon)をも飲み込むと言われている有料動画配信サービスは、現在1億5800万人の加入者がいます。

2018年の売上は1.57兆円。この内9,900億円をコンテンツ制作費に回しています。約3分の2ですね。

最初は「映画の配給契約よりも自社で作ったほうが安いぜ!!」って感じのテンションだったんですが……

自社制作のほうが、安く大量に制作できる

映画はプロデューサーの意見主導(力のある人の声が大きい)が、自社でやれば過去の試聴データを元に、より自由にアイディアを生かした制作ができる

外部の制作会社を「包括業務提携」という形で数年に渡ってNetflixにしかコンテンツを提供しない契約を結ぶことで、「Netflixにしかないコンテンツ」を作り、顧客の囲い込みができる

と、メリット満天なので売上をガンガンコンテンツ制作費につぎ込んでいます。

ガンガンコンテンツ制作費に売上をつぎ込めるのは、Netflixがサブスクリプションモデルを採用しているおかげです。

月額料金の継続利用が前提のサービスなので、次年度の売上の目処がかなり正確に見込めます。なので、投資しても会社が傾くことのない限界まで強気の投資を行う事が出来るんです。

Netflixの競争優位性

【財務的優位性】

・サブスクリプションモデルであるので、制作費に対して安全で強気な投資が出来る。

【制作優位性】

財務的優位性により確保した制作費を惜しみなく以下の要素につぎ込む事で「圧倒的なコンテンツの差別化」を行っている。

・自社制作で安く大量に制作を出来るため、たくさんの失敗が出来る(数を多く出すのでヒット作も生まれやすい。)

・既存のテレビでは利権がらみで自由度の低かった製作者に、思い通りの制作を點せられる。(作品のオリジナリティとクオリティの向上)

・外部制作会社を「包括業務提携」という形で数年間囲い込む形を取り、「Netflixでしか見られないコンテンツ」を作り、顧客を囲い込む。

しかし、DisneyとAppleがそれぞれ「Disney+」「Apple TV+」でストリーミング事業に参入してきます。要はNetflixと同じモデルを再現しようって戦略ですね。

それに対してNetflixはゲーム業界に参入します。Netflixのオリジナルコンテンツの続きをゲームでプレイできるって感じになるらしいです。

つまり、Netflixが何をやっているかというと、
顧客を離さないために、徹底的にコンテンツを差別化を図る。そのためにサブスクリプションモデルで安定的に供給される資本を投入している
んですよね。

要するに、Netflixのサービスの一番重要になる部分は「顧客を離さないこと」で、それに対して「コンテンツの作り方」を既存の業者とは差別化し、さらに大量の投資をして差別化をより強化するっていうのがNetflixの戦略なんです。

地域の競争優位性をどう作るか?

ここでようやく地域の話。

Netflixにおける「顧客を離さない」ってのが、地域においては「盛り上がっている」という言葉で言い表されます。盛り上がっている地域っていうのはヒトがたくさんやってきますからね。

つまり、地域起こしで大切なのは、「ヒトを離さないために、ここでしか提供出来ない価値を作り出す」ことです。Netflixだったら「コンテンツ」に当たる部分ですね。

重要なのは「ここでしか提供出来ない」の部分。

Netflixみたく大量に資本を投下出来るなら新しいテーマパークとか作っちゃえばいいやって発想になるんですが、だいたいそうはならないですよね。地域起こしで重要なのは「限られた資本をいかに有効活用して競争優位性を作るか」なんです。

他の真似はオススメしません

競争優位性を作る時に、すでに他にある価値を作り出したり、他で盛り上がっていることを真似るっていうのはあまりオススメしません

例えば、「渋谷でポップコーンが流行っているから、茨城の牛久でもポップコーンをやってみよう」って感じのやつですね。

これがなんでダメかというと、理由は以下の2つです。

よその真似がダメな理由
  1. 他の場所でも体験できる価値であると「その場所へ行く理由」が薄くなる。(そもそも優位性になっていない場合が多い)
  2. 自分が簡単に真似できたということは、他の地域も簡単に真似できるので、すぐに優位性がなくなる可能性がある。(参入障壁が低い)

だから地域を盛り上げようと思ったら、よそと被らない、もしくは簡単にコピーされない、他の地域と差別化できる要素に焦点を当てる必要があるんですね。

地域の優位性は「歴史」と「ヒト」で作る

じゃあ具体的にそれはなにかっていうと、「歴史」と「ヒト」なんですね。

正確にいうと「歴史」>「ヒト」ですね。なんでかというと、この2つはお金と時間をかけても他の地域で手に入れることが出来ないか、出来てもものすごいコストがかかるからです(ほとんどの場合絶対に手に入らない)

例えば北千住のには「千住遊廓」というものがありました。細かい話は割愛しますが、この歴史(文化)は他の地域で再現することは出来ません。(もともと遊郭があった街であれば可能でしょうが)

また、その地域独自の人間関係やコミュニティーも、長い年月やその地域にいるヒトを中心に作られているものなので、他の地域での再現性は低いです。

逆に、「ガード下の飲み屋」なんかは「北千住にもあるけど、他の地域にもそこそこある」って感じなので、差別化要因としては少し弱いです。

だから、「歴史」と「ヒト」に焦点を当ててコンテンツを作り込んでいけば、他の地域に対しての競争優位性を保ち続けることが出来ます。

まとめ

地域を盛り上げようと思ったら、
歴史
ヒト
の2つに焦点を当てると、強い競争優位性を獲得することができる。

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