お説教は絶対NG。お客様の「言い訳」に「市民権」を与えるようブランドを設計する。

井畑です。

商品・サービスを含むブランド設計するときにとてもよくやってしまうミスが、お客様に「お説教」をするようなスタンスを取ってしまうことです。

例えば僕たちだったらブランド資産を作るお手伝いをするときに、「毎日メディアを更新するか、3日に1回更新するか。一年後には三倍の差が生まれています。なぜ毎日更新しないのですか?」的なことを言ってしまう感じです。

完全にお客様に説教をするスタンスですよね。これではお客様から好かれるブランドにはなりません。

お客様の行動は常に「不合理」です。その不合理さを「言い訳」させてあげるように商品を作ることが重要です。

盗人にも五分の理を認める

「盗人にも五分の理を認める」というフレーズは、デール・カーネギーの超有名な著書「人を動かす」の冒頭に出てくる話で、超簡単にいうと「どんなに悪いことをした人でも、自分の中では『悪いことをせざるを得なかった理由』があるし、悪いことをしたのも本当は自分のせいじゃないって思っている」という話です。

僕はこの「自分のせいじゃない」って思う感覚、すごくよく分かるんですよね。

普段生きていて、本当に100%自分の責任ってことにはなかなか出会わないじゃないですか。

仕事でミスしても「一緒にやってた人全員に責任があるし、なんならちゃんと確認しなかったクライアントにも責任がある」と思ったことはありませんか?

事実、自分のミスの中で、本当に100%自分のせいなものってどのくらい思い浮かびますか?ほとんどなくないですか?

そういう周囲からの影響を全部自分の責任として受け止めてコントロールしていくのが「仕事の出来る人」なので、「自己責任」って言葉に重きが置かれがちですが、現実のミスや間違いにはほとんどの場合自分以外の要素が絡んでいる。言い換えると「言い訳」出来る隙間があるんですよね。

みんな言わないだけで、心の中ではこの「言い訳」出来る隙間に気づいているんですよね。そして言い訳したいと思っている。

だから、いい商品やサービスはお客様の「悪いところ」を責めないで「言い訳」させてあげる隙間を用意しておくんです。

どうやって言い訳の隙間を作るか?

言い訳の隙間を作るのは簡単です。相手の言い訳に「市民権」を与えてあげればいいんです。

例えば、最近メディアの追い風もあって「HSP」っていう人が増えています。「はいりーせんしてぃぶぱーそん」の略で「とても敏感な人」っていう意味らしいです。先天的にすごく繊細らしいので、普通の人の中での社会生活ですごく苦労をしているらしい。

日本では「「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本」というのをオリラジの「あっちゃん」がYouTubeで解説したことで更に有名になりましたね。

なんでみんな「HSP」に興味があるかというと、HSPであるというブランドは「自分は社会生活に向いていない」という免罪符になるんですね。「自分が社会生活に適応出来ないのは仕方がないよ。だってHSPだから!」って胸を張って言えるようになるんです。

「あなたの言い訳は正しい!」って言ってあげるだけで相手はとても満足します。相手の言い訳に「市民権」を与えてあげるわけですね。

ご自分のブランドがお客様の言い訳に「市民権」を与えられるようになっているかを確認してみてください。