井畑です。
起業したての人やフリーランスがもっとも迷うのが「値付け」です。
特に、技術職や専門知識を商品にしている方は苦手なんですよね。業界標準のルールが頭に染み付いちゃっているから、その業界の事を知らない人との感覚のギャップが大きいんです。
結果として、とてもわかりにくい料金体系や、お客様から見ると「すごく高い!」と感じる料金を出してしますケースが多いです。
1つの業界に長いこと身を置くと、#業界の常識 が自分に染み付いていく。
— 井畑太佑 Key-Performance inc. (@ihata1567) June 18, 2020
馴染むって意味ではいいけど、お客様との感覚の違いを認識しておかないと、「#値付け」の部分で痛い目にあう。
こっちとしては妥当な金額が、お客様からは「意味分かんないけどなんか高い」と見えている場合はよくある。
この場合、だいたいは思ったほど売上が伸びなかったり、途中解約が起こったりします。そうすると、感覚のズレを理解していないと「高すぎたんだ!」という結論になり、結果として、大きく値引きをしてしまい、自分の持っている価値を安売りしてしまいます。
今回の記事では、論文ベースで証明されている「デコイエフェクト」を使った値付けの方法をご紹介します。
このテクニックを使えば、自分たちの価値を自分で下げることなく適正な価格で販売することが出来、さらにお客様の満足度も上がります。
「高い・安い」をどのように判断するか?
いきなりですが、カメラのレンズの話です。
— 井畑太佑 Key-Performance inc. (@ihata1567) June 18, 2020
「#SIGMA16mm F1.4 DC DN」というレンズがあってアマゾンで4.1万円くらいなんですが、これが「めちゃめちゃ安い!!!」と話題になっています。
でも、カメラに詳しくない人からすれば4万円は「めちゃめちゃ安い」とはならないですよね?
SIGMA 16mm F1.4は同程度の性能だと10万円くらいするレンズがゴロゴロしています。
— 井畑太佑 Key-Performance inc. (@ihata1567) June 18, 2020
「10万円くらい」っていう基準点があり、そこから「機能は同程度」なのに「値段が4万円」だから「めちゃめちゃ安い!」と言われるんです。
つまり最初の「基準点」があったから「高い・安い」が判断されたんですね。
人間は物の値段を判断する時に、自分の中の基準と照らし合わせて考えます。
例えば「2000円のラーメン」ってすごく高いと感じますよね?でも、「3000円のフレンチのコース」だとそこまで高くないと感じると思います。
ラーメンは安いものだと290円とか、高くても1000円ちょっとが相場です。それに対してフレンチって、ランチでも3000円スタートとかで、高いと天井が見えませんよね^^;
同じ金額でも「高い・安い」は、自分の中の基準がどこにあるかによって判断が変わります。
比べるものがないと、判断出来ない。
ここで僕たちが覚えておかないといけない重要な事があります。
「高い・安い」はお客様の中の基準によって決まるとお伝えしました。だから、逆を言うとお客様の中に基準点がないと、安いも高いも判断出来ないという事です。
ラーメンやカメラのように業界標準の決まっていないサービスもたくさんあります。起業家さんの中には、自分の展開するサービスが「どの業界にも属していない」と感じる方はかなり多いのではないでしょうか?
比べるものがない時、お客様はだいたい次の2つのパターンに分かれます。
①自分の知っている「似たようなサービス」と比較する
②比較対象がないので、判断ができない状態になる。
①の場合は「何と比べられているか分からない」ので、売る側としてはめっちゃ不利ですし、②にいたっては全然購入の方向に動いていないですよね。
だから僕たちはものを売るときに「これと比べて欲しい!」っていう基準点をこっちから提供する必要があるんです。
その基準点の提供に効果的なのが「デコイ・エフェクト」です。
デコイ・エフェクトで売上を260%上げる。
デコイエフェクトはマサチューセッツ工科大学のMBAの学生を対象に行った実験で証明されています。
その実験はこんな感じでした。
デコイエフェクトの実験
エコノミストという経営雑誌があります。これは本屋で雑誌としても普通に買えるのですが、ちょっとお得になる定期購読のプランもあります。こんな具合です。
みなさんだったらどれを選ぶでしょうか?同じ情報が手に入るならWEB版だけで良い?それともやはり現物も一緒に欲しい?
では、選択肢がこうなっていたらどうでしょうか?
□WEB版エコノミストの購読 59USドル
□印刷版の購読 125USドル
□印刷版およびWEB版のセット 125USドル
どうですか?3つ目のプランが圧倒的にお得に見えてきませんか?
マサチューセッツ工科大学のMBAの学生100人に次も、同じ選択肢を見せ、どのプランで契約するかを選ばせた結果がこちらです。
□WEB版エコノミストの購読 59USドル………16人
□印刷版の購読 125USドル………0人
□印刷版およびWEB版のセット 125USドル………84人
□WEB版エコノミストの購読 59USドル………68人
□印刷版のおよびWEB版のセット 125USドル………32人
どうですか?100人中52人の学生が本来であればWEBだけで満足という選択を、お取りに釣られてセット版を購読するという選択に変更しました。
どれか一つの選択肢が圧倒的にお得に感じるようにおとりとなる選択肢を見せられると、うまく誘導されてしまうんです。(ちなみにこの学生たちは世界的に見ても超優秀な人材たちです。)
デコイ(おとり)を使って基準点を作る
デコイエフェクトは非常に単純なんです。おとりとなる選択肢を用意することによって、「目の前にある選択肢の比較によって高い・安いを判断させる」ことに成功しています。
しかも、あえて「お得でないおとり」を用意することによって、自分が一番売りたい選択肢を「お得」に見せることも出来ます。
結果として、実験では「WEB+印刷版」の購買数が260%まで上がっています。すごい増加ですよね。
デコイエフェクトの使い方
では、ここからは僕が実際の現場で使っているデコイエフェクトの使い方をお伝えします。
自分の一番売りたいサービスを用意したら、その上位版と下位版のサービスを用意します。あとはそれを「松・竹・梅」の順番に並べておくだけです。
僕たちのサービスもそんな風に作っています。
ポイントは上位と下位の商品を「真ん中が一番お得に見えるように」設定することです。実際どんな業界でも、ある程度お金をかけた先は、本当にこだわりたい人にしか分からない違いになります。
なので、松竹梅のサービスは以下のような感じで作るとうまくいきます。
松:自分の持てる全てをつぎ込むMAXモリモリプラン(たまに売れると嬉しい)
竹:効果が簡単に実感出来るものだけを厳選した「お得」プラン
梅:竹に出来るだけ値段を寄せて、機能は大きく削ぎ落とす。(竹の引き立て役)
まとめ:デコイエフェクトを活用して値付けに勝つ
Q1.お客様が自分のサービスを見る時に「何と比べているか?」を分析する
Q2.「デコイエフェクトの使い方」に沿って、自分のサービスを3パターン用意する
□WEB版エコノミストの購読 59USドル
□印刷版およびWEB版のセット 125USドル