井畑です。
情けない話ですが、コンサルやっているとお客様から「途中解約」をされてしまうことが年に1〜2回あります。
僕の力不足や相性の問題ももちろんあるのですが、ここ4年間を振り返ってみると途中解約をされたお客様は共通して「勝ちのイメージ」の共有が出来ていなかったと感じます。
なので、今回はジャンプで連載されていた漫画を例に出しながら「勝ちのイメージ」の共有の重要性をご説明します。
打ち切りになった「シャーマンキング」
皆さんは「シャーマンキング」という漫画をご存知ですか?
これ、僕が小学生〜中学生くらいのころにジャンプで連載していた漫画でアニメにもなってかなり人気だったんですよね。
ざっくり言うと、霊を使って戦う「シャーマン」たちが、どんな願いでも叶えてくれる「グレートスピリッツ」をかけた戦い「シャーマンファイト」に挑みながら、最強の敵を倒すために頑張るって話です。
他にも「正義とは?」とかの宗教的・哲学的な考察も多くて面白かったんですが、結果的にこれ打ち切りになっちゃったんですよね。「俺たちの戦いはこれからだ」で終わるやつ。
なんで打ち切りになったかっていうと、結局読者と「勝ちのイメージ」の共有が出来なかったんですよね。
「勝ちのイメージ」がないと、漫画は読んでてもつまらない
この漫画の最大のポイントは、最強の敵「朝倉ハオ」が物語のかなり初期から出ていたのですが、まあコイツが強すぎた。
主人公たちの戦闘力が15000そこらのときから戦闘力125万を突きつけてました。圧倒的。
最初の頃はね、期待するんですよ。「ラスボスの戦闘力が125万!?でも、主人公たちもそのくらい強くなるんだろ!!」ってね。確かに主人公たちもどんどん強くなりましたよ?戦闘力10万程度までは。強くなっても1割程度。
主人公たちが強くなっても強くなっても全く敵わない。最初の頃は期待するんですが、そのうち飽きてくる。「どうせ敵わないんでしょ?」って。これ「学習性無力感」ですよね?
そして最終的には「ラスボスが最強になるための準備で寝ている間に寝込みを襲って仕留める」って作戦に出るんですが、ここにたどり着く道中の番人がまあ強い。というか「番人は10人いるのに最初の1人からこんなに消耗してどうする」的なノリでずっと責めてくるんですよね。
こんなことしてたからみんなに飽きられて打ち切りになっちゃった。
「勝ちのイメージ」を共有出来ていない漫画は読んでいてもワクワク感が無いって良い事例ですね。
なんでドラゴンボールはいいのか?
でもちょっとまってください。これにとても類似したケースの漫画、思い浮かびませんか?
そう、ドラゴンボールのフリーザ編です。シャーマンキングって大きな視点で見たらドラゴンボールの焼き直しともいえます。(どっちの作品にも「死ねばパワーアップ」って要素があります。)
でも、なんでドラゴンボールはセーフでシャーマンキングはアウトだったのか?
連載している時代が違うことはもちろん原因にあげられますが、一番の原因は「ドラゴンボールの存在」です。
ドラゴンボールには連載初期から「7つ集めるとなんでも願いが叶う魔法の玉」ってスーパーチートアイテムがありました。
だから読者の中には「戦闘力でフリーザ様に敵わなくても、ドラゴンボールがあれば勝てるんだ!」ってイメージが常にあります。(実際にはフリーザとの戦いも最初は「正面衝突を避けてドラゴンボール争奪戦」ってテンションでしたし)
しかも、ドラゴンボールのいいところはフリーザが「第四形態」まであるんです。
だから、強くなった仲間が第一形態を倒す→第二形態へ→また強くなった仲間が第二形態を倒す→第三形態へ……
っていう流れが出来ています。読んでいる側からしたら常に「勝利」と「緊張(絶望)」が繰り返されているんです。
だから飽きることなく常に「早く次週のジャンプを見せてくれ!!」って気になるんですね。
読者の視点と合わせる
僕もシャーマンキング連載当時からジャンプで読んでいたんですが、やっぱり「どうせ勝てないんだろ…」の空気なんですよね。中学生の僕は飽きていました。
でも、最近大人になって読み返したら、やっぱり面白い。(単行本では打ち切り後のラストまでちゃんと公開されたので、僕も最近ラストを知りました。)
もちろん大人になったからっていうのも原因としてはありますが、それ以上に僕が改めてシャーマンキング面白いなと思ったのには2つの原因があると思います。
原因1:ストーリーをの大枠をすでに知っていた
まず原因の1つ目はストーリーの大枠をすでに知っていたことです。
初めて読むと「結局ラスボスには全然勝てないじゃん……」って気分だけで終わってしまいましたが、ストーリーの大枠を知っていると、ラスボスとの関係性じゃなくて、その場その場の敵との戦いを楽しめました。
学習性無力感の状態になっていないってのが大きいですね。
週刊連載じゃなかった
僕はシャーマンキングはジャンプの連載で読んでました。当然読むペースは週に1話です。これだと全体感がますます捉えづらくなるんですよね。小・中学生なら尚更。
単行本で一気に読めればどんどん読めちゃうんですが、週刊連載のペースだと間延びしてしまい、「結局勝てないんでしょ?」って気分だけが残っていたように感じます。
作者が読者の読むシーンをリアルに想像出来ていなかった
結局、作者と同じように「ストーリーの全体感」を知っていて、次の話まで間延びしなければシャーマンキングは打ち切りにならずにすんだんだと思います。
でも、読者が読む環境に合わないストーリー展開をしてしまった。読者は「勝ちのイメージ」を想像出来なかった。
これがシャーマンキングの打ち切りの理由だと僕は考えています。
お客様の視点にたって「勝ちのイメージ」を共有する
ここでようやくはじめの話に戻れます。
僕は「この人のコンサルをしても正直成果をあげるのは難しいだろうな……」と思ったお客様からの仕事はお断りするようにしています。つまり「イケるっ!!」と思った方としかお仕事をしません。
でも、その成果は短期で分かりやすい成果もあれば、2年3年と長期に地道にコツコツやっていって出る成果もあります。
僕が契約を打ち切られた方は、みなさん「地道にコツコツ」タイプの方でした。
つまり「こんなことやってて、意味があるのだろうか……」と思わせてしまったんですね。「勝ちのイメージ」が共有出来ていなかった。
逆に、「勝ちのイメージ」を共有することさえできれば、打ち切りにはならなかったと思っています。
じゃあどうやって「勝ちのイメージ」を共有するか?
それには「ロードマップ」「意味の説明」「KPI」の3つが必要です。
長くなってしまったので、この詳しい説明はまた次回に。
お客様と「勝ちのイメージ」を共有出来ているかどうか確認する