起業家の才能を100%引き出す専門家、筧田 (@kakehida) です。
独立起業者は、日々、様々なタイプの人と関わることになると思います。 今日は、人を3つのタイプに分類し、その特性を把握することで、より円滑な人間関係を築けるように情報を提供したいと思います。
結論から言うと、
です。
念のためですが、この記事は私の意見ではなく、科学的に根拠のある研究結果に基づいて発信するように心掛けております。 また前提として、ここで取り扱う性格は変えられます。
では早速、順にその特性を説明していきたいと思います。
分類の経緯
そもそも今回の特性分類は、パイを2人で切り分ける実験から導き出されたものだ。 実験を行ったのは、米国ペンシルベニア大学ウォートン校 (世界No.1ビジネススクール) の組織心理学者 アダム・グラント [Adam Grant] 教授 (史上最年少終身教授) で、
世の中には、成功する「いい人」と、燃え尽きてしまう「いい人」がいる。この違いを理解しないとなかなか成功しない。
という話から始まっています。
参考文献:GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 ※英ファイナンシャルタイムズ 「2013年ビジネス本大賞」
この本では、「成果」と「富」、「チャンス」の好循環を生み出す人間タイプに関する研究結果を示しています。
どのように分類するの?
他人への接し方で、人のタイプを分類します。
1. 人に惜しみなく与える人 [ ギバー/giver ]
人から受け取る < 人に与える
相手に多めに与える。ある意味、お人好しなタイプ。他人中心で、相手が何を求めているかを常に考えられる。 また人によらず誰に対しても与えようとします。
ちなみにギバーは見返りが手に入るまでの時間は長いです。
※「ギバーとして行動しているのに、見返りがない!」と思う時点で、その人はテイカーやマッチャーです。
2. 真っ先に自分の利益を優先させる人 [ テイカー/taker ]
人に与える < 人から受け取る
「自分が多めに取る」を基本とします。 ちなみに持っていくだけ持っていって、自分だけが得しようと考えているテイカーの行いは、事業をされている方から見ると悪目立ちしています。
余談ですが、起業界隈でのテイカーの悲劇について……
起業家や事業者の中には、テイカーのことをクレクレ君と呼ぶ人もいます。 情報やアドバイス、サービス……事あるごとに無料・格安で求めてくる人のことです。 でも真っ当に事業をやっている人、お客様に対して真摯に提供し続けてきた人は、一瞬でクレクレ君を見抜きます。 誰からも指摘されずにクレクレ君を続けていると、仲間から見放され、仲良くできる人が現れても詐欺師だったり同じテイカー同士だったりするのです。 結果として、マイナスになります。
3. 損得のバランスを考える人 [ マッチャー/matcher ]
与えると受け取るのバランスを取る
冷静に損得を公平に考えるタイプ。 「平等・公平であること」を重視し、常に相手とのバランスを考える。
分類の注意点
現実には人は状況により3つの顔を使い分けている。例えば、子供には親としてギバーになり、価格を値切る場合はテイカーになる。しかし、仕事においては、どれか1つのスタイルになる。
以下、主に仕事における話としてお伝えします。
統計的な成功のしやすさ
一見、テイカーが1番得をして、ギバーは損するように見えますが、グラント教授の研究では、「成功するのは、常に相手の立場で考えるギバーだ」と結論づけられました。
各タイプの生産性を調査した結果は?
グラント教授によるエンジニアの生産性を調査の結果、最も生産性が低いエンジニアは常に他人を手伝い、自分の仕事は後回しにするギバーでした。 しかし最も生産性が高いエンジニアもギバーだった。テイカーとマッチャーはほどほどの成功にとどまりました。エンジニアに限らず、医学生、販売業といったさまざまな分野でもこのパターンは変わりませんでした。
中間: テイカー & マッチャー
下位: ギバー
となります。
テイカーの傾向
テイカーは短期的に成果を出しますが継続的な業績や長期的な幸福度は下がる傾向にあります。 テイカーであるほど、周りからの信頼がない状況へと進行させ、最終的に成功から遠ざかります。 テイカーは強い者には従順だが、弱者を支配しようとする。
ギバーの傾向
ギバーな人ほど幸福度が高く人生の満足度が高いという調査があります。
また、ギバーは長期的に信頼を得て、人との強いつながりを持つことで、より大きな価値を生み出していくことができる傾向にあります。
ちなみに優れたリーダーはギバーが多い傾向にあります。
起業家ギバーへの注意喚起
先程の調査結果についてですが、テイカーやマッチャーよりも下位に存在するギバーがいます。 その原因はテイカーに利用され、資源がなくなることが挙げられます。 テイカーはギバーをカモにしようとします。 何食わぬ顔で、「私に対してもギバーにならないと、それは偽物のギバーだ」と挑戦してくることもあります。 これに対し、ギバーは付け込まれない工夫・対策が必要となります。 一方的なテイカーへ提供するほど、成功や幸せは遠ざかります。 またテイカーによる略奪的な行為をさせないことは、テイカー自身を本質的に助けることにつながります。(上記「テイカーの傾向」を参考のこと)
成功するギバーと成功しないギバーの分かれ目は?
続かない自己犠牲ボランティアとは?
世の中には、余裕がないのにボランティア活動に身を捧げる人がいる。 その献身は尊いが、中には「他人の幸せの前に自分の幸せを考えようよ」と言いたくなる人もいる。 自己犠牲で与え続けるギバーは力がなく、燃え尽きやすく、幸せになれないし、幸せを量産できない。
起業家という人の中にも、お金じゃないという人がいる。 そう話す人の話をよくよく伺うと、需要がないところに対して活動しようと考えている人も少なくない。 勝手にやってくれる分には構わないが、それは事業ではないし、支援や協力を求められてもそんな自分勝手なことに対してこちらのリソースは割けないと明言しておく。
※ボランティアによる幸福と健康
自己犠牲の話を置いた上で次の調査結果をご覧ください。 米国で24歳以上2800人を対象にした調査では、ボランティア活動の1年後には幸福度や人生の満足度が上がり、うつ病が軽減したという結果があります。 他にも、ボランティア活動をする高齢者は長生きするという調査もあります。
成功するギバーの特徴とは?
ギバーの成功事例として米国大統領リンカーン [Abraham Lincoln] が挙げられる。 選挙ではまさかの敵陣営を応援し、結果、落選することもしょっちゅうだった。 しかし御存知の通り、歴史に残るアメリカ大統領となった。
成功するギバーは他者に与えるだけに留まらない。 他人の視点はもちろんのこと、社会や自分のことも踏まえて全体の利害関係を把握する。 よく巷で言われる言葉では Win-Win や 三方良し と言われる。 結果として、世の中全体の利益は大きくなるし、そのギバー自身、最後には大きく成功する。
もう一度確認すると、成功するギバーは三方良しで物事に向き合い、燃え尽きるギバーは自己犠牲で与え続ける。
ちなみにテイカーやマッチャーは、そもそも「パイの大きさは変わらない」と勝ち負けにこだわり、「全体の利益を最大化する」という発想に辿り着けない。
どうすればギバーになれるの?
相手にただ与えるのではなく、相手に喜んでもらえるように誠実に判断した上で与えていこうとする姿勢を訓練し続けることです。 相手視点は訓練で身につきます。
注意喚起
見せかけギバー
受け取る人の気持ちを理解できない人はギバーではありません。 明確にお伝えします。
例えば、被災地に千羽鶴・古着・生鮮食品を送るとか、野球の勝者に千羽鶴を託すとか。
起業界隈でも良かれと思って開店記念品を送る人がいますが、1番店主から喜ばれるのは開店祝い金を渡しつつ実際に利用して多くの仲間に口コミすることではないでしょうか。
2020年代において
情報革命に伴い、日に日に世の中は透明になっていることは、実感の通りだと思います。 SNS普及のおかげもあって、ネット上でもあなたがギバーか、テイカーか、それともマッチャーか……どのタイプなのか、他者から見える状態となっております。
些細な言葉や仕草において
あなたが思っている以上に、相手はあなたがギバー・テイカー・マッチャーのどのタイプか認識しています。 特に私が最近、起業家に関して気になるのはメッセージ・メールといった文面でのやり取りです。 相手視点で物事を考えていない人は露骨に文章でクレクレ君的=テイカー的表現をしていることに気づけないのです。
まとめ
2. 真っ先に自分の利益を優先させる人 [ テイカー/taker ]
3. 損得のバランスを考える人 [ マッチャー/matcher ]
いかがだったでしょうか。 あなたはどのタイプの人間になりたいですか? どのタイプの人間と関わりたいですか? ぜひこの機会に自分と向き合ってみてください。
2. 真っ先に自分の利益を優先させる人 [ テイカー/taker ]
3. 損得のバランスを考える人 [ マッチャー/matcher ]