電通がブラックと叩かれまくってるので擁護してみる

 

こんちには。井畑です。
 
電通、叩かれてますね。

今回の問題、強制労働時間の長さと人格否定が論点のようです。
 
ですが、ちょっと電通叩かれずぎかな?と思います。電通が今の社会の諸悪の根源だみたいな風潮って、どうなんですかね。
 
電通のパワハラを擁護する気は一切ありません。ですが、今回の件があったからといって、今まで電通が残してきた成果や、日本社会に与えた価値はなくならないはずです。
 
今回の記事は、そんな電通に関して私がすごいと思った事を紹介します。
 

電通のライター教育システムがすごい

※先に断っておきます。僕は別に電通の教育システムが「日本で一番」となんか言っていません。「◯◯がすごい」というと決まって「そんなのはどこでもやっている。特別ではない。」という批判をする人がいます。別に最高を求めているわけではありません。参考にすべき点があるのでご紹介するんです。
 
最初っから話がずれてしまいましたが、戻しましょう。
 
電通が管理しているニュースサイト「電通報」に、こんな記事が上がっていました。

「そのひと言」の見つけ方 #04 400字書いたら半分に削る。

この記事は電通社員「渡邉 洋介」さんが、ご自身のうけたライターとしての教育の内容を紹介したものです。

記事の中で「渡邉」さんは電通の教育をこのように紹介されています。

※以下、「そのひと言」の見つけ方 #04 400字書いたら半分に削る。からの引用。

コピーには短く印象的なキャッチコピーと、それを受けてストーリーや商品の特徴、価値を語るボディコピーがあります。このボディコピー、たとえば400字という原稿用紙1枚に書いてみて、ばっさり半分に削ると、かなり発見があります。
以下は僕が実際に社内の研修で教えてもらった、コピーライターの鈴木康之さんによるトレーニングです。

 
渡邉さんは結果的に19日・19回この要約をリライトしています。
初回と最終稿のみご紹介します。
 

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初回はどちらかと言えば説明文っぽかったですが、リライトを重ねる毎に「ふくチャン」の気持ちの表現が鮮やかになり、最終稿では自分自身の視点も交える事で「フクチャン」の葛藤を表現しました。
 
ですが、これを上司に見せたところ………
 

しかし、鈴木さんに見せると「こんなこと書く人は失格だ。話にならない」と、厳しいダメ出しをされました。特にダメなのは最終稿。理由は「書き手が出すぎているから」です。
鈴木さん曰く、
「コピーというのはおとりつぎ。クライアントの商品のなかにある本質を消費者におとりつぐ、そのフィルターとしての役割がコピーライターなわけで、そのフィルターに書き手の気持ちみたいなものが入っていくのはよくない」。
コピーライターの神髄のような話です。

 
そして、鈴木さんは文章をこのようにまとめられました。
 

 

原文から読み取れる、ちょっとぽっちゃりした体型のフクチャン。いま、フクチャンはどういう心境なのか? 職業柄、いろいろな人に神経を使う毎日。「禁煙」という言葉で「断ちたい断ちたい」という気持ちを本当に表現できるのだろうか? もう少し強い言葉があるはずだ。そこで、「禁煙」ではなく「断煙」という言葉をチョイス。福島信男さんに「フクチャン」とルビを振れば、文章の量はそのままで、さらに伝えたい情報を加えることができる。……まさに職人技としか言いようがありません。

 
8行を3行にし、しかも情報量は出来るだけ減らさないようにする。この成約では読み手のイメージを喚起する文章を書く以外に方法がありません。ライター養成には最適のプログラムです。
 
そしてもう一つ大切な要素。19回もの改定を重ねた作品を一蹴した上司。その上司が実際にやってみたところ、新入社員がただただ感動するようなレベルの作品に仕上げてしまう。この「実力を見せつけて部下の信頼を得る(屈服させる)」というスタンスは非常に重要だとです。なぜかというと、そこに「納得感」があり、その人への信頼も生まれるから。
 
 

まとめ:ブラックと紙一重

 今回紹介した内容だって、一歩間違えればブラック企業と叩かれる内容です。19日間、19回もリライトしたものを「話にならない」と一蹴されるのですから。
 
ですが、その中から本当に良い物が生まれる事がたくさんあります。
 
物事の片方の側面だけではなく、全体をよく見た上でブラック企業を糾弾しましょう。
 
※電通に関してはまだ書きたい事があるので、続編も書きます。