こんにちは、井畑です。
経営者みなさんは「顧客満足度」を常に考えていると思います。
ですが、実際に測定したことはありますか??
顧客満足度は「CSI(顧客満足度指数)」というアンケート集計によって測定されています。
このページでは顧客満足度指数【SCI】の測定方法と、KPI設定の方法をお伝えします。
顧客満足度の重要性
測定方法をお伝えする前に、CSIの重要性についてふれておきます。
CSIは、非金融資産(有形固定資産や棚卸資産、営業権・特許権など)のKPIの中で、最もよく利用されている指標です。将来の財務実績のに関して、もっとも分かりやすい指標なので、それも当然ですよね。
顧客からの満足度が高ければ高いほど、ロイヤリティが向上し、リピートや継続購入につながります。結果として利益が増大するわけです。
※ちなみに、ロイヤリティが低いのに顧客満足度は高いということはありえますが、顧客満足度が低いのにロイヤリティが高いということはありえません。顧客満足度が原因、ロイヤリティが結果です。
ロイヤリティについてはこちら
また一般的に、新規顧客獲得のためのコストに比べ、顧客を維持するコストの方が低くなる傾向があります。つまり、顧客満足度が高いということは売上の向上につながるだけでなく、コストの削減にも効果的です。
企業の基本目的である「利益を出す」ということに密接に関わる指標だからこそ、よく使われるのですね。
顧客満足度の測定方法
顧客満足度はアンケートなどを使った顧客への調査を通して測定されます。
例えば、「商品を購入して満足したか」に対して1〜5段階(1は非常に不満、5は非常に満足)で確認を行います。
調査は「質」「量」ともに大切なので、様々な方法で広範囲に渡って行います。フォーカスグループを上手に活用している組織もあります。
CSIの計算方法
「自社の商品に対して満足しているか」という単一の質問に対してだけでは、信憑性の低い指標になってしまいます。
そこで役に立つのがCSI(顧客満足度指数)です。相関関係のある複数の質問の回答の平均値を取ることで、信頼のある測定をおこないます。
質問は「顧客期待値」「知覚品質」「知覚値」「顧客不満度」「顧客忠実度」などの項目に分類されます。
日本版の顧客満足度【JCSI】
日本版のCSIの代表は、【公共財団法人 日本生産性本部】が行う【JCSI】です。
JCSIは以下のようなアンケートで測定されます。
■基本設問(6つの指標の指数算出に用いている21設問)*結果が公表されている指標
[顧客期待] 1.全体期待:×××などの様々な点から見て、○○○の総合的な質について、以前はどれくらい期待していました か
2.ニーズへの期待:あなたの個人的な要望に対して、○○○はどの程度、応えてくれると思っていましたか 3.信頼性:×××など様々な点から見て、△△として不可欠なものがなかったり、サービスが利用できなかったり
することが、○○○でどの程度起きると思っていましたか
[知覚品質] 1.全体評価:過去 1 年間にあなたが利用した経験から判断して、○○○はどの程度優れていると思いますか 2.バラツキ:過去 1 年の利用経験を振り返
って、○○○の商品、サービスは、いつも問題なく安心して利用できま
したか
3.ニーズへの合致:○○○はあなたの個人的な要望にどの程度応えていますか 4.信頼性:×××など様々な点から見て、△△として不可欠なものがなかったり、サービスが利用できなかったりしたことが○○○でどれくらいありましたか
[知覚価値] 1.品質対価格:あなたが○○○で支払った金額を考えた場合、×××など様々な点から見た○○○の総合的な質を どのように評価しますか
2.価格対品質:○○○の総合的な質を考えた場合、あなたがかけた金額や手間ひまに見合っていましたか 3.お得感:他の△△と比べて、○○○の方がお得感がありましたか
[顧客満足] 1.全体満足:過去 1 年間の利用経験を踏まえて、○○○にどの程度満足していますか
2.選択満足:過去 1 年を振り返って、○○○を利用したことは、あなたにとって良い選択だったと思いますか 3.生活満足:○○○を利用することは、あなたの生活を豊かにすることに、どの程度役立っていると思いますか
[推奨意向] あなたが○○○について友人や知人と話すことを仮定した場合、以下の点を好ましい話題としますか、それとも好ま しくない話題として話そうと思いますか。 1.商品の魅力(基本サービス)/2.会社としてのサービス(サービス環境)/3.情報提供/4.従業員・窓口対応
[ロイヤルティ] 1.関連購買:今後 1 年間で、これまでよりも幅広い目的で○○○を利用したい 2.第一候補:次回、△△を利用する場合、○○○を第一候補にすると思う 3.頻度拡大:これから1年間に今までより頻繁に利用したい 4.持続期間:これからも○○○を利用し続けたい
* 上記の設問で、「×××」は当該業種の質を示す代表的な内容を挿入。「△△」が該当する業種名を挿入。「○○○」は指標化対象の 企業・ブランド名を挿入する。 個々の調査対象業種により、若干の表現の変更は行っていく。
■その他設問(約90設問)*非公表の設問(個別に顧客の満足・不満足の原因分析等で活用)
回答者属性および利用実績に関わる項目 約15設問 業種別のサービス品質設問や、感動、失望などの感情評価項目 約70設問 自由回答項目(悪い点・悪くなった点、良い点・良くなった点、利用理由等)出典:サービス産業生産性協議会 2015年度 JCSI(日本版 顧客満足度指数) 第4回調査結果
データ収集のコスト
JSCIのような専門の調査機関を利用した調査は、通常は年1回実施され、当然コストも大きいです。
そのため、短期で安価に出来る他のアプローチ(ラーメン屋にある、餃子無料券付きの簡易アンケートなど)との併用が望ましいです。
KPI設定
企業の現状に応じて、KPI設定の値は変わってきます。また、専門の調査機関に依頼をした場合は、その機関毎の水準がある場合が多いので、それを参考にします。
顧客満足度に関する注意
①コストとのバランスを考えて!!
コストを無視してのサービス改善を行えば、たしかにCSIの値を上げることは出来ます。しかし、その結果経営を圧迫し、利益が下がったのでは本末転倒です。
事実、コストのことを棚上げにした改善を行った結果廃業に追い込まれた企業も存在します。(このような企業の裏には、全体のバランスを考えずに経営理論だけを振り回すコンサルタントの存在があったことは悲しいことです。)
利益の最大化を目指し、バランスのいい改善を目指しましょう。
②顧客ロイヤリティを判断する指標ではない
上にも書きましたが、「顧客満足度」は「顧客ロイヤリティ」を保証する指標ではありません。
満足はしているが忠誠度はない顧客もたくさんいます。なので、NPS等の顧客ロイヤリティを測定する指標との併用が重要になってきます。
まとめ
顧客満足度は企業の将来を把握する重要な指標である。
アンケートの結果からCSI(顧客満足度指数)を算出することでの測定が一般的。
日本での代表はJCSI。
満足度だけに気を取られることなく、バランスのいい経営が重要。
顧客ロイヤリティとの併用が効果的。
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