【関係がこじれるテンプレ】お金をプライベートに持ち込むヤバさ【行動心理学】

こんにちは、井畑です。

僕たち「何かを売る側の人間」ってのは、売る側の理論が思考のベースにあるんですが、お客様は自分でものを売ったことのない人がほとんどですよね?だからお客様にはお客様の理論があるんです。

この理論の違いをちゃんと理解しておかないと、お客様との関係性からプライベートな関係性まで全部をぶっ壊し兼ねないって話をします。

社会規範と市場規範

僕たちは無意識のうちに「社会規範」ってのと「市場規範」ってのを使い分けながら人間関係を作っているんですね。

社会規範ってのは「普通の仲良しな人間関係」です。何か手伝って欲しいと言われたら喜んで手伝うし、相手も自分もそれで満足。即時の見返りも求めないのが社会規範です。

それに対して市場規範は「お金の介在する人間関係」です。自分はなにかを手に入れる代わりに何かを払う。自分が出したものと自分に入るものがハッキリわかってないといけないし、その量や期日が明確でないといけない。

この2つの規範のどちらに当てはめて思考をしているかによって、相手の行動が全然変わってきます。

お金をもらわないほうが嬉しい場合

弁護士の例

全米退職者協会が、複数の弁護士に、1時間あたり30ドル程度で求職者の相談を依頼したことがありました。30ドルは弁護士への相談料としては安すぎるので、多くの弁護士は断りました
今度は、弁護士に対して同様の相談を「無償」で行ってくれないかと依頼したところ、圧倒的多数の弁護士がOKを出した事例があります。

この2つの依頼の差が、市場規範を適用したか、社会規範を適用したかの差なんです。最初の依頼ではお金の話が出てきたので弁護士たちは「市場規範」を当てはめました。そうすると「30ドルなんかじゃ仕事なんかやらない!」ってなったわけですね。

ですが、無償で依頼をされた場合は「社会規範」を適用したので、「困っている人の力になりたい!」との思いが働いたわけです。

どちらの規範を適用させるかによって、依頼の受けてもらいやすさが段違いになる事例です。

もう一つ事例をご紹介します。今度は「市場規範」を適用するトリガーが何なのかについての話です。

市場規範のトリガー

キャスリーン・ヴォーズ、ニコール・ミード、、ミランダ・グッドの実験で、社会規範は「お金を連想すること」を考えただけでも適用されることが明らかになりました。

お金の連想実験

実験ではまず参加者に「乱文構成課題」を与えます。これはばらばらの単語を並び替えることで一つの文を作る課題です。片方のチームには「外は寒いですね」などの当たり障りない文章が出来る課題を、もう一方のチームには「給料が高い」などの「お金を連想する文章」を与えました。

結果、給料のことを考えている人たちは「独立独歩」の傾向が強まり、助けを求めたがず、他者を助けることにも消極的になりました。それだけでなく、座る場所を選ばせると、共同作業をしている人から出来るだけ遠くの席を選ぶようになりました。

この実験は、お金のことを考えさせるだけで、ほとんどの行動経済学者が予想する通りの行動をとるようになり、普段の生活で見られる社会的動物らしい振る舞いは見せなくなったと結ばれています。

日常生活に市場規範を持ち込む危険性

例えば、誰かのお宅のホームパーティに招かれたとします。奥さんがとても豪華で手の込んだ食事を用意してくださり、楽しい時間を過ごしました。さあ、縁も竹縄、もうそろそろお開きですというタイミングで、「今日はお招きいただきてありがとうございました。少ないですが感謝の気持ちの1万円です。」と現金を渡したら、その後の関係性はどうなるか分かりますよね?

これが、日常生活に市場規範を持ち込んでしまう危険性です。いわゆる空気の読めない人がこれをやりがちですね。

ホームパーティーなんかでお金を払おうとするのは、相手の「心遣い」というものを台無しにしてしまう行為なんですね。

お金が絡むと人間は「市場規範」を適用します。市場規範を適用した場合「行ったサービス」と「そのサービスに対しての対価」をやり取りするようになります。つまり、準備してくださった方の「心遣い」が介在する隙がなくなってしまうんです。

市場規範の中で生きることに慣れている人は、「金額を提示することでどれくらい自分が感謝しているかを伝えたい」と考えているのかもしれませんが、特に日本ではこれは「不粋」と言われる行為です。

特に男性。意外とこれやってませんか?

デートでは絶対にお金の話はしないこと

最も最悪なのは、デートの時にお金の話をしてしまう男性です。

最初から「お互い変に気を遣いたくないから、今日は割り勘でいこう」と言っておくなら問題はありません。(女性によってはおごられて当然と考えている人もいるみたいですが……)

ですが、例えば「自分は今までのデートで◯◯万円使ったから、そろそろホテルにどう?」なんて言ってしまうのは最悪です。これは、関係性を恋愛という社会規範から市場規範に移す行為です。市場規範で夜の関係を持つということは、相手を娼婦扱いしているのとおんなじです。ゲス野郎ですね。

ここまで極端でなくても、デートにかけたお金の話をすると女性はあなたとの関係を市場規範として捉えます。その結果、あなたに待っている未来は振られるか、ATMとしての役割かの2択ですのでお気をつけください。

ビジネスに社会規範を持ち込む危険性

僕らにとってより危険なのは、社会規範をビシネスに持ち込むことです。

これは、なにも「心遣い」をするなという話ではありません。お客様と気持ちのいい関係を作るのはビジネスをする上でとても重要です。

ですが、こんな事例があります。

保育園の時間外預かり

ある保育園では、園児の時間外預かりを大目に見ていました。本来であればお金を請求するはずなのですが、それをしないでいたんですね。

この園である時から大目に見るのをやめて、ちゃんと延滞金を請求するようにしました。延滞金を払ってもらう方が、時間外預かりの数が減ると考えたんですね。

結果は、どうなったか?時間外預かりの数は減るどころか、ますます増加してしまいました。多めに見ていた頃は保護者も園と「社会規範」を適用した関係を持っていました。時間外で預けるのは申し訳ないと考えたんですね。

ところが、お金を取るようになると「社会規範」が「市場規範」に変化しました。そうすると保護者としては「お金を払っているんだから、預かってもらって当然」との考えになったようです。

さらにこの話の怖いところはここからです。この園では延滞金を設けたことによって時間外の数が増えてしまったので、元どおり延滞金を請求しないようにしました。ですが、時間外預かりの数は増えたままになってしまいました。

一度関係性が「市場規範」に移り変わってしまったので、延滞金を無くしても「またタダで延滞できてラッキー」程度の考えになってしまったんですね。

社会規範でつながるなら最後までやり切る

先程の保育園の例から僕たちが学べることは、社会規範を適用させているなら、最後まで社会規範の中でやり切るということです。

これは特に、人付き合いの中で集客をしている人が気をつけないといけません。

例えば、お客様が予約を急にキャンセルしてきた場合。利用規約にキャンセル料を明記していたならば、当然キャンセル料を請求する権利があります。ですが、社会規範的な結びつきが強いお客様は「このくらいのこと、キャンセル料は無料にしてくれてもいいじゃないか」と不満を抱くようになります。

顧客に対してサービスを提供する際は、やはり前提となるのは「市場規範」です。こちらが提供する価値に対して、お客様からお金をいただく。サービスの一環という範疇での心配りは大いにOKです。

ですが、相手から「社会規範」での関わりの中でサービスを購入されている場合は、決してその「社会規範」を外れるようなことをしてはいけません。

もし社会規範で繋がっていると考えているお客様に対して「市場規範」的な考えを適用した場合、お客様からしてみたら「裏切られた」と感じてしまいます。その結果、口コミで散々こちらの悪口をいうクレーマーになる可能性があります。

やるなら徹底的にです。

まとめ

人間の関わり方には「市場規範」と「社会規範」がある

プライベートな関係にお金の話を持ち込むとクソやろうになる

ビジネスに社会規範を持ち込むなら徹底的にやる

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