自粛という行為そのものが、人を攻撃的にする。【行動経済学】

井畑です。

コロナウイルスによる自粛も少し緩和ムードが出てきました。しかし、依然油断は出来ませんし、相変わらず県外への移動は自粛ムードのまま。

ですが、気をつけないとその「自粛ムード」が人間を攻撃的にしている可能性があります。

自制を求められる行動は人を苛立たせる。

2011年に『Journal of Consumer Research』誌に掲載された「Grapes of Wrath: The Angry Effects of Self Control」という研究論文に、自制的な行動と攻撃性の関連が指摘されています。ノースウェスタン大学の心理学者David GalさんとWendy Liuさんの研究です。

リンゴとチョコバーの実験

【実験内容】

239名の被験者に対し、「リンゴ」と「チョコレートバー」のどちらかを選ばせた(僅差でリンゴを選んだ人が多かった)。

その後、観たい映画を被験者に選ばせた。映画の中には「怒りや攻撃性がテーマ」のものとそうでないものが意図的に混ぜられている。

【実験結果】

リンゴを選んだ被験者の方が、怒りや攻撃性をテーマにした映画を選ぶ確率が有意に高かった。

【考察】

リンゴは「禁欲的な食べ物」として認知されており、チョコバーは「享楽的な食べ物」として認知されている。

つまり、禁欲的な行動を取ったあとでは攻撃的な要素に興味を持ちやすかった。

この実験は他のバリエーション(スパのサービス券(禁欲的)と食事券(享楽的)のどちらかを選ばせる。)でも同様の結果でした。

論文では、おそらく禁欲的な行動というのは、本人の本当の気持ち(本当はチョコバーが欲しいけどリンゴを選ぶ)を阻害されていると感じ、苛立つのではないかと予測しています。もしくは自主性を奪われている事により苛立っているのかもしれないとも。

外出自粛による攻撃性を紛らわす方法

外出自粛は「禁欲的な行動」であり、本当の気持ち(外に出たい)を阻害し、自主性を奪う。まさにこの論文で攻撃性が増すモデルケースです。

ただ、コロナショックでただでさえ多くのものを失っているのに、さらに人間関係まで壊れてはたまったもんじゃありません。

なので、自粛による攻撃性を押さえる方法を2つご紹介します。

我慢している事を書き出す

1つ目の方法は「自分が我慢している事」を書き出す事です。

これはエクスプレッシブ・ライティング(筆記開示)の応用です。自分がストレスに感じている事を1日8分以上4日間続けるとストレスが減少するというもので、かなり信頼のおける方法です。

//key-performance.jp/written-disclosure/

また、自分が我慢している事を書き出す事で、「外出を我慢しているかわりに、他のものを解禁しちゃおう」と自分自身でバランスを取ることが出来ます。

リフレーミングをする

攻撃性が上がる原因は「自粛(禁欲)をしていること」でした。

だから、自粛を「我慢している」ではなく「自分の意思で楽しくやっている」と再定義することで攻撃性の増加を回避出来ます。

例えば「本当は外に出ることも出来るけど、今まで家にこもって集中して作業することはなかったから、この機会に挑戦している」とか「今まで気になっていたけど結局見る時間のなかったNetflixのドラマを全部見るチャンス」とか、自分にとってポジティブで自主性のある行為だと捉え直してみてください。

この方法が出来ると攻撃性が抑えられるだけでなく、ポジティブな気持ちにもなれますね。

まとめ:コロナショックに負けない

コロナショックは僕たちから色々なものを奪い、世の中を変化させました。ですが、それにただ翻弄されるのではなく、むしろこれを〈変わるチャンス〉と捉え、明るくポジティブに頑張りましょう!

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