こんにちは。 大学生向けツーリズム研究の講師をさせていただきます、 筧田 聡 (@kakehida) です。
このページは、授業《筧田のツーリズム研究》の補助資料としてまとめました。 コロナの影響で大学で直接顔を合わせて授業できないため、この補助資料を授業に沿って使っていきます。
※今回の授業は、観光サービス業に興味がある大学生に向けたものです。
1. 本日の授業では……
これから受講生の皆さんが、就職活動等で観光業界や地域行政の方から「この学生違うな」って一目置かれるポイントを伝えます!
⚠メモできる状態で受講してください。
これまでの筧田の人生&職務経歴から、ツーリズムに関する要点を伝えますので、もし重要だと思った話は、メモしてください。 この授業を通して、皆さんの中に記憶された・記録された僕の言葉が、「皆さんの人生のどこかのタイミングでお役に立てれば、本当に嬉しいな!」と思いながら授業をさせていただきます! どうぞよろしくお願いします!
講師を紹介します
・最初に、本日講師をする 事業者・起業家『 筧田 聡 / かけひだ さとし 』の紹介
・次に、筧田が経営している 株式会社Key-Performance の会社案内
本日の先生、 筧田の仕事現場を紹介します!
1. 起業茶屋®
2. 観光ガイド (茨城県)
・最近の面白いネタとしては、茨城県が主催する絶景フォトツアーのガイドと絶景フォトコンテストの審査員を2018年, 2019年と務めました。
関連リンク: いばらきフォトコンテスト2019 | 死ぬまでに行きたい!世界の絶景
フォトコンテストの結果はこちら👇
2018年: Zekkeiいばらきフォトコンテスト2018結果発表!
2019年: Zekkeiいばらきフォトコンテスト2019結果発表!
授業の受け方について
筧田が思う、大学で身につけるべき能力とは?
身につけるべきは⾔語運⽤⼒です。 理由は、社会で活躍するには言葉を扱う必要があるためです。
👆 面接するときに見られている部分です。
大学の授業を受ける目的とは?
① 謎に対する驚き・解明の喜びの欲求を満たすこと
② 課題を解決できる能力を身につけること
👆 特に①は大学 (人生) を有意義に過ごす上で最も大切だと思っていることです。
今回のツーリズム研究の授業でお伝えしたいのは……
👆 現場視点でお伝えします。
では、本題に行きましょう!
2. 他の就活生と差を付けるために理解しておくべきポイント
現場の観光サービス提供者の筧田がポイントを伝えます。
① 「観光地視点」と「観光客視点」を組み合わせる
観光関連業の中では、「着地型観光」と「発地型観光」というキーワードが良く登場します。 意味は次のとおりです。
・「着地型観光」は、観光地の方が現地の目線で作った観光プランを表します。
・「発地型観光」は、都市部の旅行会社が集客目線で作った観光プランを表します。
これまで、観光事業者は「着地型」と「発地型」のどちらか一方の視点でプラン (企画) を作る (パッケージングする) ことが殆どでした。 というのも、観光地側主導で行うことで地域活性化につながると期待されていたためです。
しかし、実際に現場が感じているのは、需要のないプランや、採算の合わないプランの乱立です。 現在もそういうやり方の業者や行政担当者は多いです。
理由は、「どんな街・地域にしたいか?」という抽象的なビジョンや安易な活用発想から始まるため、観光客視点や集客視点がないため。
現在、観光事業に成功している地域に注目すると、企画の作り方が「着地型」と「発地型」を上手く組み合わせた手法を取っています。
② 観光事業者・ターゲット層を招待し、プランに対する観光客の声を集める。
③ 正式にプランを公開する。
「着地型」と「発地型」を組み合わせた観光プランを提供し、成功してきた観光事業の代表例といえば、はとバスです。
引用: はとバスの魅力
地域をめぐるプランを現地目線で作り、観光客の声をプランに反映させ続ける仕組みを採用しています。
② 日帰り客ではなく宿泊客に応える
観光サービス業で売上を立てるということは、観光者の時間とお金と精神を獲得するということです。
宿泊は、時間・お金・精神を獲得する圧倒的な方法です。 観光庁の統計では、日帰り客と宿泊客では、観光消費額に約2.7倍の差があるとのこと。 [参考: 共通基準による全国観光入込客統計 結果活用事例]
ここでちょっと質問です。
「人々は観光サービスのどこにお金を払っているのでしょうか?」
抽象的な質問なので答えは様々かと思いますが、ここでは、 「他では体験できないこと」 として共有します。
宿泊&他では体験できないことから生まれたのが次の観光プランです。
例: Wダイヤモンド筑波
③ 地域情報の調べ方
知っておくと、現場の人に一目置かれる情報の取り方です。
1. ハード面「交通網の状況」を調べておく
幹線道路、高速道路、鉄道、空港、航路・港 → アクセスを理解しておくことは地域観光を考える上で重要なことです。
2. ソフト面「〇〇だけ&日本一のもの」を調べておく
例: 「茨城県だけ」
山・海・湖・川といった自然が織り成す景観
関東平野で珍しい独立峰 → 筑波山
戦跡
大仏
日本100名山の中で一番標高の低い山
美しい双耳峰
5月、水田に映る山が素晴らしい
歴史ある山 → 万葉集 (日本に現存する最古の和歌集) [759年-780年頃成立]、古今和歌集 [912年完成]
3. 有名観光地の成り立ちを調べておく
例: 「ひたち海浜公園 ネモフィラ 成功理由」
参考: 豊かななめんなよ茨城
④ 採算性のある体験テーマを決める
新しい観光形態として、ニューツーリズムという言葉を耳にします。 実際の意味は、「テーマ性のある体験型の旅行」です。 これを提案することが、流行というわけです。 実際に、観光地を見て回るという従来の観光形態は、既にやり尽くされた・生き尽くした感があります。
そこで、テーマ性のある体験型旅行が注目されています。 体験型は、上でお伝えした観光地視点を取り入れやすいですし、宿泊・滞在との相性も良いですよね。
しかし課題は、体験するための地域資源への理解です。
※無いものを生み出すには多大なコスト (無理) が生じる。
例: ひたち海浜公園みはらしの丘のネモフィラ [茨城県ひたちなか市]
地域のあれもこれもではなく、引き算を繰り返し、儲かる体験テーマを決めていくことが大切です。
体験テーマ例
学習ツーリズム → 例: 歴史、伝統・文化、災害、平和
コンテンツツーリズム → 例: 聖地巡礼、宗教
エコツーリズム
グリーンツーリズム
ブルーツーリズム
ナイトツーリズム
ヘルスツーリズム
産業観光 → 地場産業、伝統産業、特色産業
ロングステイ
ディープな〇〇旅
⑤ 今後の観光サービス業の展望
コロナの影響は大きく、各地の観光サービス業は苦戦を強いられています。 そんな中で思ったことは、
「観光サービス業は観光客に何を提供してきたのか?」
併せて、視点を観光客に変えて、
「観光客は観光サービス業に何を求めているのか?」
という問いです。 これは観光サービス業の本質に触れるものだと思いました。
その答えを考え続けているのですが、今日現在、自分の中にある答えは、
観光サービス業が提供するもの=観光客が求めているもの
= 「日常に持ち帰れるネタ」
ではないかと思っています。
結局、観光サービス業の仕事は、人々に「日常に持ち帰れるネタ」をお渡しすることなのではないでしょうか。
ネタって言いましたが、話題にできることと説明を加えると、理解しやすいかもしれませんね。
「宿泊に応える」の項目でもお伝えしましたが、他では体験できないことっていう視点も重要です。 他では体験できないことを持ち帰ると、その人は、人に自慢したり、紹介したりするんですよね。
ここで、最近考えるのが「自粛中でも提供できるネタってなんだろう?」って。
例えば、
・バーチャルツーリズム
・自家用車旅行
・土産物のネット販売
……この答えは、この冬、これから観光サービス業がどんどん出してくると思います。
ぜひ皆さんもニュースに注目したり、ご自身で考えてみたりして、自粛中でも観光サービス業が提供できるネタについて考えてみてください!
ちなみに筧田はコロナ禍で試験的にガイドをしてみました……
ここで挙がった注意点や参加者が気になった点は、行政の担当者に情報共有したり、オンラインで情報公開しました。
ちなみにこういったコロナ禍での観光ガイドを通して感じたのは、 人々には家に籠もっているより観光したいという反動的な需要もあるんだなということです。
4. 締めの課題
① 本日の講義の中で「印象に残ったキーワード」に対して意見・考えを書き出す
② 本日の講義を終えて「感想」「気になったこと」「詳しく知りたいこと」を書き出す
「今回の授業」という枠に囚われなくてもOKです。 幅広くツーリズムや筧田について「気になったこと」「詳しく知りたいこと」を、書き出してみてください。
③ この場で「質問する」or「感想を言う」
5分間、①②に取り組む時間を取ります。 最後の10分間で何名かランダムで指名しますので、質問か感想をお願いします!
※質問力はとても大切です!
最後に……
お疲れさまでした! 授業はいかがでしたでしょうか? この補助資料を参考にしていただき、各自のツーリズム研究に活かしてみてください。 ではまたいつか、互いによりツーリズムへの理解を深めた状態でお会いしましょう。 筧田 (@kakehida) でした!
② コミュニケーション⼒ → 他者と言葉を積み重ねる
③ 問題解決力 → 疑問を持ち、問題を定義し、分析して、答えを出す