井畑です。
コロナショックは今までのビジネスモデルを根本から覆して来ました。でも、それは自分だけじゃなく、同業他社も、全くの異業種も、一律に変化を求められています。
この環境ではいち早く行動し、イノベーションを起こせた人が「先行者利益」を得ることが出来ます。
では、コロナショックをイノベーションのチャンスと捉え追い風にする人と、単純に自分の生活を危機に晒す向かい風であるとする人には、どんな違いがあるのでしょうか?
勝手に限界を決める
第一の差は、勝手に限界を決めているかどうかです。
その業界での経験が深ければ深いほど、「業界標準」が染み付いています。
その標準に当てはめて「顧客が価値を感じる部分はこれだ!」とか「これが出来なきゃお客は呼べない!」を勝手に決めます。
でも、その限界は誰が決めたものですか?業界標準はあくまで「今までの常識」でしかありません。
人間は自分で「ここが限界」だと思うと、それ以上の成果は出せない生き物です。
1600mの世界記録がそれを証明するいい例です。
人間は自分の思い込みの中でしか生きられないという結果です。
だからこそ、自分で勝手に限界を決めているかいないかは、これから先にイノベーションを起こせるかどうかを大きく左右します。
同じ道を歩き続ける
成功している経験豊富な人は同じ道を歩み続けます。一度歩くルートが出来上がってしまうと、そこに見えないフェンスが出来たように感じるようになります。自由に歩けるはずの場所にも足を踏み入れられなくなってしまうんです。
ですが、イノベーションは今まで踏み込まなかった領域にしか存在しません。
多くの会社がこの「見えないフェンス」に阻まれてイノベーションのチャンスを逃し、今までの地位を失ってきました。
みなさん、ブラックベリーというスマートフォンを知っていますか?
というか、iPhone登場前は「スマートフォン=ブラックベリー」だったんです。
当時ブラックベリーは「PC用のメール見れるモバイル端末」という確固たる地位を持っていました。ブラックベリーを持っているのは自分が高い地位にいることの証明のようにもなっており、ユーザーにとってはやめられないものでした。
実際iPhoneが登場したときも「ブラックベリーに比べて文字が打ちづらい」など、ブラックベリー優位の世論でした。ブラックベリー内部でも「iPhoneは驚異ではない。自社の方向性を貫く。」との経営判断でした。
ですが、ユーザーが一度iPhoneを「PCのメールが見れるモバイル端末」ではなく、「これ一台でメールもネットも電話も出来て、さらにゲームまで出来るモバイル端末」として認識すると、その評価は一気に逆転しました。
みなさんだって、今持っているスマホを手放してわざわざメール確認用のモバイル端末を持ちたいと思いませんよね?
ブラックベリーは自社ユーザーの潜在的欲求を見逃し、結果としてiPhoneに大きく出遅れました。
これまでのやり方を守ろうとすると、思考が制限されイノベーションの可能性も大きく狭まります。
地位に固執する
成功の経験を味わうと、人はその地位に固執しようとします。勝利の美酒は思考に制限をもたらすようです。
新しいことにチャレンジするときには失敗はつきものです。ですが、地位に固執すると「失敗」を極端に恐れるようになります。
その結果「今まで通りのことをやれる勤勉な自分」を高く評価するようになり、失敗から出来るだけ遠ざかるように動きます。
イノベーションを起こせるのは、成功の足かせに捕らわれている人ではなく、すぐそこにある境界線をいとも簡単に超え、テキパキと探索できる人です。
まとめ
過去の成功や経験は大切です。それ自体が自分のアイデンティティの一部となり、挫けそうなときの支えになります。
ですが、もしそれが重荷となって足を引っ張ってしまうのであれば、思い切って全部捨ててしまいましょう。
本当に必要なものだけもって身軽に移動することで見える発見があります。
1945年、1600mの世界記録はスウェーデンのグンダーへッグが打ち立てた「4分01秒04」でした。それ以降9年間、「人間が4秒を切るのは不可能」だと考えられていました。
ところが、オックスフォード大学の医学生が「3分59秒04」の記録を打ち立てると、46日後にはさらにその記録は塗り替えられ、以降3分台で走る選手が続々と現れました。
「4分を超えるのは無理」と思っている人たちでは絶対に4分は超えられなかったが、そんな思い込みをしていない門外漢の学生が一度常識を破ると、途端に記録を塗り替える選手が現れます。