こんにちは、井畑です。
顧客生涯価値、起業したてのときにはあまり縁がない数値です。一人でも多くのお客様を獲得するのに必死ですからね。
でも、2年3年と続けていってお客様が増えると、顧客生涯価値がとても有益な情報をもたらしてくれるんです。顧客生涯価値の計算式と使うデータの中に、顧客と自社の両方の利益を増やすヒントがたくさん隠れているからです。
なにより、顧客生涯価値を正しく理解していれば「自社の売上を伸ばすためだけの経営判断」を回避することが出来ます。お客様を大切にし続けるための指標って事ですね。
この記事では以下の情報をご紹介します。
- 顧客生涯価値とは?
- 顧客生涯価値を計算するための5つのデータ
- 顧客生涯価値の活用の仕方
顧客生涯価値とは?
まず、顧客生涯価値とは何かについてです。
ざっくり言うならば「自社と関わってくれている間に支払ってくれるお金」という意味になります。こう言ってしまうと「顧客を大切にする話はどこ行った?」となりますよね。なのでもうすこし詳しく見ていきましょう。
顧客生涯価値を本気で専門的求めようとするとこんな式なります。
………もう、Σ(シグマ)が出てきた時点で生理的に受け付けないって方が結構いらっしゃるんじゃないでしょうか?※本当は各文字が何を表しているかを書かなければいけないのですが、きっと誰も興味がないと思うのでここでは割愛します。興味のある方はコメントにて聞いてください。
この式を起業家の方が使える状態にすると以下のようになります。
顧客生涯価値は(LTV)………
という式で求められます。
顧客生涯価値を計算するための5つのデータ
この計算式で使用する5つの項目が、とっておくべき5つのデータです。一項目ずつ詳しく見ていきましょう。
平均購入単価
一回の来訪や買い物、サービスによって顧客一人がいくら支払うかの平均です。例えばスタバだったら340円の「スターバックスラテ」と490円の「抹茶クリームフラペチーノ」を交互に買っていく人がいれば、その人の平均購入単価は415円となります。
購買頻度
一定期間内(通常は4半期か1年)で顧客が何回購入するかの平均値です。例えば週に一回スタバを利用する人だったら、4半期(3ヶ月)の購買頻度は12回となりますね。
継続購入期間
どのくらいの期間、自社から商品・サービスを購入し続けるかの期間です。例えばスタバを使い始めて3年、ついにTULLY’Sに鞍替えしてもう二度とスタバを使わないと決めた人の継続購入期間は3年です。
(※最初の計算式に入れる際には、継続購入期間を購買頻度を求めた期間で割ってください。例だと3年(18ヶ月)を3ヶ月で割った6になります。)
新規獲得コスト
見込み顧客から実際の顧客になってもらうときにかかるコストです。広告費・DM費等のコストがかかります。例えばチラシを1000枚撒いて一人顧客を獲得したとします。チラシ1000枚を撒くのに5000円かかったとすれば、新規獲得コストは5000円になります。
顧客維持コスト
継続的に利用してもらうために必要なコストです。具体的には顧客リストの管理に始まり、継続利用のキャンペーンやDM等のコストがここに入ります。
顧客生涯価値の活用方法
顧客生涯価値と、それを算出するために使った5つのデータをどのように活用するかをご紹介します。
その1:顧客と自社の両方の利益を増やす
一般的に、商品・サービスの単価が下がればその分競争力が上がります。言い換えると「新規獲得コスト」「顧客維持コスト」を下げるって事ですね。なので、平均単価が下がっても、その分コストが下がったり、あるいは購買頻度が上がれば顧客生涯価値は上がるかもしれません。顧客生涯価値が最大化するように各項目を最適化することは、顧客にとっても自社にとっても利益が増える事になります。
その2:自社の経営体制の見直し
各項目単体で見ても重要な情報です。
例えば、継続期間について。6ヶ月目→7ヶ月目にかけて、継続率が大きく落ちていた場合、その期間に多くの顧客が離脱していく事が分かります。
それならば7ヶ月目以降も利用したくなるようなアプローチを仕掛けてることで継続率の低下を防げるかもしれません。(例えば半年利用ありがとうクーポンとか、特別イベントへの先行招待とか、これからもよろしくお願いしますのDMだけでも効果があるかもしれません。)
他にも顧客維持コストについて。コストをかけることによって継続維持期間が長くなり、トータルで顧客生涯価値が高くなる場合には積極的な投資も行えます。逆にコストに対して継続利用期間の増加が見合わない場合には経費削減も行えるわけです。
その他にも、新規獲得コストだって、事前に顧客生涯価値が分かっていればどのくらいまで投資を行っていいのかの判断基準になります。
顧客生涯価値を上げるためには
以前、顧客生涯価値を上げるための方法としてこんな感じの事を上げているサイトがありました。
・一回あたりの平均購入単価を上げる
・購買頻度を上げる
・継続購買期間を長くする
・新規獲得コストを下げる
・顧客維持コストを下げる
うん、わざわざ言われなくても小学生でも分かりそうな内容ですね。だって、計算式の「足す」の部分を多くして、「引く」の部分を少なくすれば結果は大きくなりますから。ですが、そんなに物事単純じゃありません。
例えば、平均購入単価を上げるために商品を値上げしたとします。見かけ上平均購入単価を上げる事には成功するでしょう。ですが、その結果購入頻度や継続購入期間が下がったら元も子もありません。
なので大切なのは、各項目のバランスを考えながら顧客生涯価値が最大化するような対策・投資を行うことです。バランスと顧客への視点が大切です。
まとめ
顧客生涯価値を測定することで的を得た経営判断が可能に。
そのために5つのデータは早めに集めておきましょう。