客を熱狂させて離さないコツは「自分の畑で客に野菜を育てさせる」こと。【心理戦術】

井畑です。

畑とか野菜がタイトルに入っていますが、農業の話は一切しません。バーベキューの話をします。

顧客を熱狂させて離さないようなビジネスをしたいと思ったら、レストランよりもバーベキューを提供したほうがいいという話です。むしろ、自分の畑でお客に農業させたほうがいいという話です。

レストランとバーベキューの違い

レストランとバーベキューの違いを確認しましょう。

レストランはすべての設備を店が整え、客は丁寧にもてなされ、味の保証された料理が出てくる。

一方バーベキューは準備から調理から盛り付けからすべて自分たちで行い、だれもサービスの質を保証してくれません。

一見するとレストランの圧勝な感じがしますよね。楽だし、サービスの質も保証されているし。

ですが、顧客が熱狂して離れないビジネス形態は「バーベキュー型」なんです。レストラン型とバーベキュー型の違い。それは「自分が関与できる隙間」の量の違いです。

自分が作ったからこそ美味しい

イケア効果というものがあります。

イケアの家具はほとんどがパーツのままで届き、それを組み立てて完成させる、DIY的な要素を含んでいます。顧客は出来合いの家具よりも、自分が手間暇かけて完成させた家具のに対して愛着を感じるというのがイケア効果です。正しいかどうかはイケアの繁盛っぷりで判断できるはずです。

イケア効果

自分が関わったものを大事に思う傾向

人間には「自分の所有物の価値を高く見積もる」という癖があります。この癖は「自分がかけた手間暇」が多ければ多いほど効果が高くなるので、DIYさせればさせるほど効果を発揮するわけですね。

では、先程の話題に話を戻しましょう。

レストランでは自分が手間暇をかけられる隙間がほとんどありません。メニューを選ぶことくらいですが、そのメニューでさえすでに用意されているものの中から選ぶだけです。

それに比べてバーベキューはすべてを自分たちでやるしかない。逆を言えばすべてのことに対して手間暇をかける隙間があるんです。

手間をかけるから自分の所有物であるという感覚も高くなっていき、高くなった分だけ価値を感じるようになります。

レストラン型は顧客が愛着を感じていないので、常に競合との競争に勝たなければ選んでもらえません。ですが、バーベキュー型はやればやるほど愛着を感じ、その愛着が差別化要因になるので、競争という面で非常に有利です。

自分の畑で客に野菜を作らせる

先程、バーベキュー型は顧客の愛着が競争優位性になると言いました。ですが、その愛着とこちらのビジネスとをかんたんに切り離せてしまえると意味がありません。

例えばペットショップで犬を買った人は、一緒にいればいるほど犬に対して愛着を持ちますが、ペットショップ自体とはかんたんに切れますよね。餌を購入する場所を変えても犬がいなくなるわけではないので。

なので重要なのは、「こちらが提供するビジネスと離れると、せっかく手間暇かけて育てたものが失われるような状態を作る」ことです。

例えばレンタル畑。野菜を育てるのには手間暇がかかるので、愛着が湧いてきます。もし別の畑のほうが条件がいいと思っても、自分の育てた野菜はその畑に根付いているので、かんたんには移動できません。(そいうかほぼ不可能でしょう。)

なので、お客様は他の畑が魅力的だと感じたとしても、もとの畑を使い続けてくれます。

この方法を非常にうまく使っているのがキングコングの西野亮廣さんです。自分のオンラインサロンで「まちづくり」や「絵本作り」のアイデアを募集し、どんどん取り入れていっています。

イケア効果はアイデアが採用されただけでも働くので、西野さんのオンラインサロンのメンバーはそこにアイデアを出せば出すほどハマっていき、どんどん労力をかけてくれるようになります。

さらに、西野さんのサロンを離れたら今まで手間をかけて育てたものとも離れなければいけなくなるので、つながりも強固になります。

アメブロなんかもこの手法

アメブロなんかのブログプラットフォームもこの戦略をうまく利用しています。

アメブロで一生懸命記事を書けば書くほど、アメブロというプラットフォームから離れることができなくなります。(正確にはアメブロは頑張れば他のブログサービスに乗り換えることができますが…)

具体的にどう活かすか?

では、具体的にどうこれをサービスに活かすかです。

相性がいいのは「クラウドファウンディング」です。DIYをする権利とかを売ることで、最初は「面白そう」とか「関わりたい」といった興味で支援をしてくれ、実際に作業に関わると愛着が出てきてそのまま優良顧客にシフトしてくれます。

 

他にも立ち上げたばかりのイベントであれば、初期のころから来てくれているお客さんから「イベントに対する意見」をもらって、それを反映しながらイベントを育てていくやり方があります。

こうすることでイベントに対して愛着を持つようになり、安定して参加してくれるようになります。立ち上げたばかりのイベントに固定客がつくのがどれほどありがたいことか。

さらに愛着を持ってくださった方はSNSなどでどんどん他の方にイベントを告知してくれるようになります。

こちらから特定のお客様に対して「あなたはこのイベントの○○部長のような存在です」と、関わりをより強化するような働きかけを行うのも効果的です。

重要なのは、顧客が自分のビジネスの中身に関与できるような設計を行うことです。

まとめ

レストランよりもバーベキューのほうが強い差別化要因となる

・自分のビジネスと顧客の愛着を「切っても切れない」状態にする。

・顧客が自分のビジネスに関与できるような「隙間」を設計する。