こんにちは、井畑です。
みなさん、経済学を毛嫌いしていませんか?
経済学の難しい部分は「科学」なので専門の人たちがやっていればいいですが、経済学の基礎はそのまま経済の基礎なので、知っておくとめっちゃ思考がクリアになります。
この記事では、起業家が最低限知っておかないといけない経済学の基礎をお伝えしていきます。※シリーズものです。
僕たちはどんな世界に生きているか?経済学とは。
こんなふうに、誰現代社会では常に何かしらの「選択」を迫られます。今回だったら「土曜日をどう過ごすか?」という選択ですね。そして、その選択は色々な条件によって影響を受けていました。
経済学とは、【どんな個人や会社も常に「選択」を行い、その「選択」の結果、それぞれが持っている資本がどのように分配されていくのかを研究する学問】です。
資本とトレードオフ
選択を行うと、資本が分配されます。例えば「彼女とデート」という選択をすると「時間」をいう資本を分配した事になり、「休日出勤」に分配される時間は減少します。また、「彼女とデート」という選択は「時間」の他に「お金」も分配することになるので、「パソコンのための貯金」に分配されるお金が減少します。
このように資本には限りがあり(資本の希少性)、その限りある資本を一つの事に多く使えば、その他の事に使える資本は減少します。この関係をトレードオフと言います。
「私と仕事とどっちが大切なのよ!!」という名言はトレードオフの代表格です。「時間」という限られた資本を「自分の意思」で仕事に配分しているので、彼女よりも仕事を重要に思っていると思われても仕方がないですよね。
その代表的な切り返し「お前のために働いてるんだよ!」というのもトレードオフの代表格。こちらは「デートをしてお金を稼がない」か「デートをしないでお金を稼ぐか」という、「お金」と「時間」の2つの資本の分配に関するトレードオフです。
選択はインセンティブ(誘因)に反応
個人にせよ企業にせよ、何か選択をするときには「この選択をしたい!」と思わせる要因に引っ張られます。その要因のことをインセンティブ(誘因)と呼びます。(インセンティブは最近は比較的日常会話で出てくるので知っといて損はありません!)
例えば、「生ビール」の価格が上がってきたら、それよりも価格の安い「第三のビール」を買いたいというインセンティブが働きます。
経済学でいうインセンティブとは、【意思決定者にとって望ましい要素が増加(または望ましくないものが減少)するもの】と定義されます。なので、個人や企業の選択行動を理解しようと思ったら、インセンティブを理解することが重要です。(ちなみに経済学では、特に重要なインセンティブは「価格」であると考えられています。)
市場と交換
経済とは、このインセンティブに従って、個人や企業がお互いの持っている財やサービスを交換することをいいます。そしてこの交換の事を「市場」と呼びます。市場での交換は両者のインセンティブに基づいているので、以下の経済的問題を解決します。
- 何がどれだけ生産されるか?
- それらの財をどのように生産するか?
- それらの財は誰のために生産されるか?
- 誰が経済的意思決定を行うのか?またどのようなプロセスを経るのか?
しかし、市場が社会にとって望ましくない状況を引き起こす場合もあります。市場は交換に関係する人たちのインセンティブで動いているので、「公害」「富の不平等」等が起こる可能性や、市場がうまく機能しない場合があります。そのような時の対策を政府の力に頼るのが、現在の世界経済です。このように、市場と政治の2つの影響によって成り立つ経済を混合経済と呼びます。
情報
最後に、市場経済では「情報」が非常に重要な要素になります。
意思決定者が選択を行うためには、選択をするのに十分な情報が必要です。情報・あるいは情報不足は、市場のあり方・さらには民間市場がどれだけ希少な経済資源の効率的使用を保証できるかということに関して重要な役割を果たします。
〈財・サービスとの類似点〉
個人や企業は情報を購入しようとし、情報を販売する専門の組織も存在する。
〈財・サービスとの相違点〉
情報の売り手が、買う前にその情報を見せてくれない。(見せてしまえばそれにお金を出そうというインセンティブが働かなくなってしまう。)
情報は多くの人が共有でき、無料で利用できる。
市場経済の問題点
多くの人は、市場による家計への財の分配方法を受け入れがたいと思っています。
市場で高い評価を受けない人は外部からの支援なしには家庭生活を満足に行うことも出来なません。
なので政府は所得の公平性を高めるために援助を行います。しかし、市場の持つ分配面へのテコ入れのため、経済的なインセンティブが弱められ(頑張っても収入が増えない)効率性が損なわれる可能性があります。
なので、公平性と効率性のバランスを取るのが現在経済の中心的な問題です。
経済学とは?
人々は選択に直面すると、選択肢の利点や欠点を比較検討します。もし意思決定者が直面する選択肢を体系的に比較検討を行うとしたら、経済環境の変化に対して意思決定者がどのように対応するかが予測でき、それを体系化して学問にしたのが、経済学です。
ご自分の生活の中で、すべての選択を体系的に比較検討したりしていますか?大体はその場の気分や自分の好みによってですよね。このように、「人間の選択行動は、経済学のように理論的でなく、もっと本能的・生物学的である」という視点で研究を行う学問の事を「行動経済学」と呼びます。
3つの市場
経済の基本は選択と交換だという話をして来ましたが、企業(提供者)と家計(消費者)の間で交換が起こる市場は大きく分けて以下の3つです。
- 生産物市場:企業が自社の生産物を家計(もしくは企業)に販売する市場(一般的な意味での市場はこれ)
- 労働市場:企業が生産物を作るための人材を家計から購入(雇用)する市場
- 資本市場:企業が投資を行うための財を購入する市場。(銀行への預け入れや、株式や社債の売買など。)
世の中の経済はこれらの市場が絡み合ってお互いを形成しています。
まとめ
- 個人であれ企業であれ、日々何らかの選択を行っている
- 選択の結果、資本が分配されていく
- トレードオフ:資源は希少であり、トレードオフは基本的には避けられない。
- インセンティブ(誘引):選択を行う際には、意思決定者はインセンティブに反応する。
- 交換:人々は自発的に交換を行う事で便益を得る。そして市場経済では交換によって効率的な資源の利用が実現される。
- 情報:市場がどのような構造を持つか、またどれだけうまく市場が機能するかと言うことは、意思決定者がどのような情報を手に入れるかどうかに決定的に依存する。
- 分配:市場は、生産された財とサービスが、社会のメンバーにどのように分配されるのかを決定する。
土曜日。給料日まであと5日。財布には23,000円、口座には6万円の貯金。彼女とデートに行くこともできるし、休日出勤をすることもできる。お金は余っているわけでもないけどそこまで苦しいわけではない。でも、新しいパソコンを買いたいと思っているからあまり使いたくはない。でも、天気がいいからどこかに遊びに行きたい。さあ、どんな土曜日の過ごし方をしようか?