井畑です。
消費活動が「ジャーニー型」から「パルス型」へシフトしてきています。
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僕たちの情報発信のあり方も、その変化に合わせてシフトしていかなければいけません。
一番重要なのは、「検索の動機」が変わってきていることです。僕も含めてほとんどの人が、「読者は困り事や解決したいことの答えを求めて検索する」という認識でした。ですが、その根本が変わってきています。
パルス型消費社会における検索方法の変化
パスル型消費社会での検索方法は、ジャーニー型と大きく異る点があります。
ジャーニー型は「注意・認知(Attention)→ 関心(Interest)→ 欲求(Desire)→記憶(Memory)→ 購入行動(Action)」の流れで進んでいるという理論です。「AIDMA」とも呼ばれる、非常に理にかなっていて、納得のいくフレームワークですよね。
ですが、このフレームワークには一つ大きな前提が存在します。それは、「人の情報探索行動はスピードの差こそあれ、徐々に購買という 1 点に向かっていくもの」ということです。この前提が大きく変化している事が、パスル型消費社会への転換にも繋がります。
パルス型は、このAIDMAの段階を行ったり来たりします。例えば、「認知→関心→欲求」と進んだのにまた「認知」に戻ったり、逆に「関心」まで進んだら一足飛びで一気に購入してしまったりといった具合です。僕たち情報発信者泣かせですよね。スムーズに進んでくれたほうがこちらも対策を立てやすいですが、検索をする人の行動は非常にランダムです。
Googleさんもこんなふうに言っています。
多くの場合で、情報探索行動は、現れたり消えたり、期間を空けて思い出したようにまた現れたり、また「このタイミングでなんでまたそれを調べるの?」「結局、何も考慮していなかったそれを買っちゃうの?」など、マーケター側からするといわば“ちゃぶ台返し”のような行動が多発している。
引用:ギリシャ?バリ?はたまたハワイ? 新婚旅行の検索行動から見えた情報探索行動のリアル:バタフライ・サーキットと 8 つの動機
Googleがこのランダムな検索の分析を繰り返したところ、8つの検索の動機を発見しました。
8つの検索の動機
Googleが分析を繰り返した結果、検索をする動機は「気晴らしさせて」「学ばせて」「みんな教えて」「にんまりさせて」「納得させて」「解決させて」「心づもりさせて」「答え合わせさせて」の8つに分類出来ることがわかりました。
気晴らしさせて
関心があることの検索そのものが楽しみ(娯楽)になっている場合です。
例えば好きなアイドルの情報を調べてしまうのはそれ自体が楽しいからですし、僕だったらAppleの新製品の情報はたとえ買う気がなくても調べているだけで楽しいです。
学ばせて
知らない事に大して網羅的に知識を溜め込みたいという欲求です。
例えばビジネスのフレームワークとか、どんどん勉強したくなったり、あるいは欲しい物(例えばスピーカー)があったら、その根本的な仕組みまで全部調べたくなる欲求が検索の動機になります。
みんな教えて
世間や周囲の人が選んでいるサービスを知りたいという欲求です。
「○○おすすめ」や「○○ ランキング」で出てくるおすすめランキングやアマゾンのレビュー、さらにはブロガーさんのおすすめ商品などを知りたいという欲求です。
にんまりさせて
Googleがこういう名付けをするのでそれに従いますが、これは「みんなの知らないお得な情報」を手に入れたいという欲求です。
例えば今の時期だったらマスクが手に入らないので「マスク 在庫 すぐ手に入る」とか「マスク 穴場」のような検索をします。
納得させて
自分の持っている考えが本当に正しいかどうかを確認したいという欲求に基づく検索です。
今の時期だったら、コロナウイルスに関する知識の答え合わせや、政府の対応策に対して自分が考えている事が本当に正しいかを検索します。
解決させて
自分の困り事に対して、今すぐ役立つ具体的な解決手段をほしいという検索動機です。
これが今までWeb検索に関して最も主流だった考え方です。ですが、今では8つのうちの1つでしかありませんね。
心づもりさせて
商品・サービスに後でがっかりしないように、予め期待値をさげておきたいという検索動機です。
ネットで買ってから届くまでの間に、買った商品の情報を検索したことはありませんか?ワクワクしているから検索をしているという人も多いですが、無意識のうちに自分の期待値を下げるために検索をする人もいるようです。
答え合わせさせて
自分の購入した製品について、「自分の判断は正しかったか?」ということを確認するために検索をする欲求です。
買ったあとに「実はもう一つの候補のほうが良かったんじゃないか……」というような思いを持ってしまったときに、その思いを消すために検索をするようなイメージです。
情報発信の切り口が変わってくる
検索の動機がこれだけ多様化したので、当然情報発信のスタイルにも多様性が求められます。
当然「検索ワード」に変化が出てくるのでそれに対応しなければいけませんが、それ以上に重要なのが「顧客がなぜ検索をするのか?」というシーンを正しくイメージ出来るかどうか。
自分のターゲットをイメージして、「気晴らししたいときにはどんな情報を求めているか……?」「自分のターゲットとする人はどんな考えを持っていて、どんな言葉を伝えればそれが正しいと納得してくれるか……?」といった想定をしなければいけません。
「そんな複雑な想定、無理じゃない?」と思った方、正解です。
こちらがターゲットを設定して、そのターゲットに合わせた発信をするにはあまりにも検索パターンが多様化しています。
だから、求められるのは「自分の信念に基づいた発信」です。自分が相手に合わせるのではなく、ありのままの自分を出していって、共感してくれる相手に読者になってもらう。他人に合わせようとしては駄目です。
自分が普段感じている8つの検索動機に当てはまるような発信をすることが求められます。そして、今後この流れはますます強化されます。
どうか「ありのまま」の自分を発信することから逃げず、自信がなくてもどんどんさらけ出していってください。結局、誰かに価値を届けるにはそうやって荒療治的にブラッシュアップされる以外の道はないのですから。
現場からは以上です。
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