「考えて買う」時代から「直感で買う」時代へ。パルス消費型社会における僕らの情報発信の姿。

井畑です。

僕はブログの書き方を人に伝えるときには、「ただ情報だけ発信すると情報は溢れていて価値を感じてもらえないので、読んでくれた方が『この人みたいな考え方や選択をしたい!』と思ってもらえる、いわゆる「生き方にあこがれてもらえる」文章を書くことを心がけましょう〜」ってお話をしています。

この手の話はこっちの記事を参考にしてください。

//key-performance.jp/valuable-information/

今回は別の切り口から情報発信のあるべき姿を見つめ直します。

今、買い物の様式が「ジャーニー型消費活動」から「パルス型消費活動」へと変化してきています。情報発信者の僕たちは「パルス型」に適応した情報発信をしなければいけません。

そしてそのためにはやはり「自分のストーリー」を発信するしかありません。

「ジャーニー型消費活動」と「パスル型消費活動」とは?

まずは「ジャーニー型消費活動」と「パルス型消費活動」の違いについて考えましょう。「ジャーニー」は「旅」ってイメージ出来ますが、「パルス」は日本語訳出来ますか?「脈拍」とか「短い波」って意味です。

ジャーニー型消費活動

僕たちの消費行動に大きな変化が出てきたのはここ5年くらいの間です。それまでの消費行動は「ジャーニー型消費活動」と呼ばれているものでした。これは別名「AIDMA」とも呼ばれています。

「AIDMA」は「ジャーニー型消費活動」の各段階の頭文字をとった名前なので、これを使って説明をします。

「AIDMA」は、僕たちの消費活動は「注意・認知(Attention)→ 関心(Interest)→ 欲求(Desire)→記憶(Memory)→ 購入行動(Action)」の流れで進んでいるという理論です。

非常に理にかなったように思えますよね?何らかの形で商品を知り、そこに関心を持って検索等で情報を調べ、欲しくなる欲が高まってきて、その欲が徐々に高まってきて、最終的に購入に至る。

実際にAIDMAの流れに沿って購入行動をした経験のある方がほとんどだと思います。僕も「カメラ」や「パソコン」を買うときはしっかり検討をしてから購入をしています。

AIDMAでは特に「注意・認知(Attention)」の段階が重要だと言われてきました。みんな「よく分からないものは買いづらい」という思考だったので、テレビのCMに大きな力がありましたし、企業はWeb広告に躍起になってお金を出していたわけです。

ですが、スマートフォンの登場でその傾向が変わってきました。

パルス型消費活動

コンビニの登場って、世の中にとってとてもエポックメイキングな出来事だったんですよ。

それまで買い物には「時間・曜日」の制限がありました。僕の父親もよく「若い頃、仕事が忙しくて買い物に行けず、正月を非常食で過ごした」という武勇伝を語ってきますが、今ではそんなことはありません。コンビニが登場して以来、買い物の「時間・曜日」の制約はほとんどなくなりました

次に起こったのがEコマース、ネットショッピングです。ネットショップは「時間」についての制約を更に減らしただけでなく、「場所」についての制約も外しました。注文さえすれば、日本全国どこでも届けてくれます。

この流れを決定的にしたのは、2007年、iPhoneの登場でした。ここからスマートフォンが急速に普及していき、今まではパソコンの前に移動してパソコンを起動しないと出来なかった「検索・ネットショッピング」が「いつでも・どこでも」可能になりました。

こういう大きな流れを受けて、消費行動にも変化が現れました。いくつかの日常品において、4〜5ブランドに「集中」していたはずの購入候補が、それ以外のブランドも視野に入れて購入しているという「分散」が起こってきています。その流れを受けて、Googleは2019年に実施した調査により以下のことを予想しています。

Googleの調査結果

1) 今、人々は買う瞬間まで知らなかった名前の商品を買うことに躊躇しなくなってきている

2) 今、人々は何かを買うためにお店や ECサイト に行く時点で、具体的にどの商品を買うかまだ決めていないことが多い

3) 今、人々は暇つぶしにスマホを眺めている時に、偶然知った商品をその場で買うことに躊躇しなくなってきている

ここで重要なのが(3)についてです。消費者は検索などで「偶然知った」商品を躊躇なく買う行動が増えてきています。つまり、もともと購買意欲はなくとも、検索をしているうちに瞬間的に購入意欲が湧き、そのまま購入に至っています。

こんなふうに、一瞬で購入意欲が最大になり、そのまま購入をしてしまうので、グラフの形から「パルス型消費活動」を呼ばれています。直感型の消費活動ですね。

パルス型消費活動は増加する流れ

今はまだジャーニー型消費活動とパルス消費活動の比率は「7:3」といったところで、まだまだジャーニー型が優位であることは間違いありません。特に、高額で買ったら数年で使うものに関してはジャーニー型が優位です。

ですが、価格が低く、購入後数日〜数ヶ月で使い切るものに関してはパルス型消費活動が優勢です。

そして、現在のトレンドからは今後「パルス型消費活動」がより大きな割合を占めることが予想されます。

ここまでのまとめ

「注意・認知(Attention)→ 関心(Interest)→ 欲求(Desire)→記憶(Memory)→ 購入行動(Action)」の流れにそって購入を決めるのが「ジャーニー型消費活動」

あまり欲しくもない状態から、瞬間的に購買意欲が湧き、そのまま購入してしまうのが「パルス型消費活動」

今はまだジャーニー型のほうが優勢だが、今後パルス型はますます勢いに乗ってくる

パルス型消費活動で働く6つの直感センサー

「パルス型消費活動」では、「別に買うつもりはなかったけど、検索をしてたら自分に必要だと感じて買っちゃった」というケースがほとんどです。つまり「なんとなくピンときた!」という感じですね。

僕自身の最近の例でいえば、最近デスクを窓際に移動したので、顔が半分だけ焼けるっていうおろそしい状況になりかねないんですよね。なのでネットで「日焼け止め」を探してたのですが、検索しているうちに「日焼けのダメージを根本から解決するにはしっかりとした洗顔が大切」という記事を見つけ、洗顔料を買ってました。ちなみに洗顔料を買ったことに満足して、日焼け止めを買ったのはその一週間後です。

この「なんとなくピンときた」をGoogleでは更に深堀りし、6つの「直感センサー」と名付けています。「セーフティ」「フォーミー」「コストセーブ」「フォロー」「アドベンチャー」「パワーセーブ」の6つです。

Googleの例はなんとなく分かりづらいので、簡単に6つのセンサーを説明します。

セーフティ:より安全

安全性に関するセンサーですね。例えば某牛丼チェーン店で起こった「テラ牛丼」のように、大本が安全を保証していても、実際に調理する人間が怪しいと安全でないですよね。大本は安全なのはだいたい保証されているので、次は「仲介業者が安全なのか?」ということが疑問に上がっています。

逆に、仲介まで含めて安全だと伝えられればそれだけで購入へのセンサーに引っかかるんですね。安全性が確保されていることに対して、直感センサーは働きます。

フォーミー:自分にぴったりだと思う

ダイエットをしている人にとっては「脂肪になりにくく、筋肉になりやすい食品」はまさに自分にピッタリだと思うでしょう。また、YouTuberの製品紹介なんかも、「この人みたいな生活をしてみたい」という「憧れの自分にピッタリ」という属性を満たしています。

コストセーブ:お得なものに反応

僕はカメラのレンズでこれを経験したことがあります。

韓国のあまり有名でないメーカーのレンズと、国内大手メーカーのレンズが比較され、「ほとんど同じ性能だから韓国メーカーのほうがとてもお得!」というYouTubeを見て、そのまま購入してしまいました。

「安くて効果的」というのはそれだけで購入意欲を増加させます。

フォロー:人の評価に反応

ブログやYouTubeの商品紹介なんかはこれですよね。誰かが実際に使った感想が知りたいんです。アマゾンの評価も重要な指標です。

アドベンチャー:「新しいく興味」に反応

新しい物を常に楽しみたいという欲求です。僕もこの欲求がとても強いので、一時期会社の経費でカメラを買い替えまくってました。

結果として今は「YouTube始めるときに買ったほうがいいおすすめカメラ」を人に勧められるので良かったのですが……

パワーセーブ:買い物の労力を減らす

例えば、パソコン関連の器具だと「対応しているかどうか」を見分けるのが結構めんどくさいんですよね。だから、「このセットなら対応してます!」みたいな情報があるととても買いやすいです。

他にも洋服。コーディネートを考える手間から開放されるためにわざわざお金を出す人もいるくらいです。

パルス消費型社会における僕らの情報発信の姿。

ここまで、「ジャーニー型消費活動」、「パルス型消費活動」とその「6つの直感センサー」について説明してきました。

情報発信の目的は何か商品を売ることだったり、ライフスタイルを紹介していくことだったり、あるいは考え方を伝えるものだったりと様々ですが、世の中のトレンドに逆らうことは出来ません。

結局これから先僕たちはどんなふうに情報発信をすればいいのか?

答えは意外とシンプルです。冒頭でお伝えした通り、「自分のストーリー」を伝えるべきです。自分たちの「ありのまま」の体験を文章にすればいいんです。

最重要なのは「共感・憧れ」を感じてもらうこと

例えば安全性について。企業の「安全です!」っていう広告を見るよりも、実際に1年間食べた人の「一年間食べてみたけど安心でした!」ってブログのほうが信憑性が高くなります。

フォーミーにしてもそう。「自分にとってピッタリ」って、自分自身じゃわからないんです。だから、「私はこういう人で、こんなものを使ってます」って製品紹介をすると、「私も記事を書いている人と同じようなところがあるから、きっとこの製品はピッタリのはず」だと感じてくれます。

6つの直感センサーで「ピンとくる」ようにするのが「パルス型消費活動」時代に僕たちに求められる発信です。逆を言うと、今情報発信でうまくいっている人たちはこの「パルス型消費活動」にうまく適応した情報発信をしています。

うまくいっている人たちはみんな「自分はこんな人で、どんな目的で生きていて、こんなライフスタイルをしていて、そのスタイルに適したアイテムはこれです」って発信なんですよね。必ず「自分が使っておすすめしたいもの」や「自分が大切にしている考え」を発信しています。

だから僕たちもテクニックだけじゃなく、「読んだ人に共感してもらて、あるいは憧れて真似してもらえるようになる自分」であることが、これからの情報発信に求められるはじめの一歩です。

だから臆さず「自分のストーリー」を伝えましょう。自分のストーリーがしょぼいと感じたら、その自分をアップデート出来るように行動しましょう。

現場からは以上です。