起業家が想いを伝える際に「踏んではいけない地雷」とは?

こんにちは、井畑です。

 

起業家にとって自分の想いを伝えることは非常に重要です。

 

でも、重要だからこそ、プレゼンに力が入ってしまい、「踏んではいけない地雷」踏んでしまう人がとてもたくさんいます。

 

みなさんの話は「踏んではいけない地雷」を踏んでいませんか?

 

この記事で得られる情報
  • 想いを伝える時に踏んではいけない地雷とは何か?
  • どうやったら相手の地雷を踏まないように出来るか?
  • 相手の地雷の位置を見つけるテクニック

想いを伝える時に踏んではいけない地雷とは何か?

地雷の説明をする前に下準備をさせて下さい。

小学校の頃によく「自分がされたらどう思う?人の気持ちになって考えなさい!」って怒られませんでしたか?

この言葉には大きな落とし穴があります。

それは「同じ出来事」を経験しても人によって「どう感じるか」は全く異なるんです。

「どう感じるか」を決定している2つの要因

人間は自分の「五感から得られる情報」を脳に伝達し、伝達された情報は「受け取り方のフレームワーク」に沿って解釈されます。

なので、「五感から得られる情報」と「受け取り方のフレームワーク」のどちらかが異なる人は、同じ出来事に遭遇しても別の情報の解釈をするんですね。

自分の想いを伝えようと思ったら、この2つの要素それぞれに相手の自分の感覚をあわせて行くことが重要なのですが、今回は「地雷」に直結する「受け取り方のフレームワーク」に的を絞ってご説明します

受け取り方のフレームワーク=ビリーフ

五感から受け取った情報の解釈のフレームワークのことを「ビリーフ」と呼びます。

ビリーフはその人の「価値観」「信念」「思い込み」「常識」などをまとめたもので、自分が経験した強烈な体験に影響を受けます。

ビリーフはどのように形成されるか?

生存に最適化された処理を行う」ことを脳が求めた結果、ビリーフは形成されます。

なので、生命として弱く、周囲に助けてもらわないと生き残れない幼少期の経験が形成の主要因になる場合が多いです。

また、大人になってからも大病や失業等の生命を脅かす強烈な体験を経験すると、それがビリーフになる場合があります。

ビリーフの形成のきっかけ
  1. 強い感情をともなう体験
  2. 強い影響力を持つ人(主に両親)との関係性
年齢におけるビリーフ形成の目的
  • 3歳ぐらいまでのビリーフ→生き延びるために身につける(生物的生存)
  • 3~6歳までのビリーフ→周囲の期待にこたえるために身につける(社会的生存)
  • 13歳以降は強化行動
ビリーフの例
  • 幼少期に両親からネグレクトを受けた→「両親からの愛を求めてはいけない/自分は存在してはいけない」
  • 幼少期に家が借金で苦しかった→「お金を求めてはいけない/お金を求めると不幸になる」
  • 大病をした→「自分は健康でないから無理は出来ない」
  • 大学入試に失敗した→努力しても成果は出ない

ビリーフの否定が「踏んではいけない地雷」

要するに、「踏んではいけない地雷」というのは「相手のビリーフを否定する情報」なんですね。

ビリーフは生存のために身に着けたものなので、もしそのビリーフが間違っていたとなると、生存本能的には非常にやばい状態になるんです。

なので、「ビリーフが否定される情報」が入って来た時に脳みそは「自分のビリーフを守ろう」とする「警戒態勢」に入ります。

警戒態勢からの人格否定

脳みそは自分のビリーフを守ろうとするので、相手の言っていることが間違っていることを証明するための情報を集めだします。

ここで、間違いの証明に成功すればまだセーフ。(こちらの伝えたい情報は跳ね除けられてしまっていますが……)

もしもその情報が論理的に破綻なく間違いだと証明出来ない場合はどうなるでしょうか?

脳みその悪あがき、「人格否定」に入ります。例えば「あいつは喋り方が気に入らない」とか「言っていることは間違っていないけど、人を否定しているやつは成長しない」とか、論点を「相手の人格」に移すことでなんとか自分のビリーフを守ろうとします。

 

ここまでのまとめ
  • 五感から取り入れた情報を解釈するフレームワークをビリーフと言う
  • ビリーフは生存に最適な解釈をするために身につく
  • ビリーフを否定されると警戒態勢に入る
  • 相手の話が論理的に破綻がない場合、人格攻撃をしてでもビリーフを守ろうとする

どうやったら相手の地雷を踏まないように出来るか?

想いを伝えるときに踏んではいけない地雷とは、「相手のビリーフを否定する内容」でした。

この地雷回避の方法を説明する前に、まずは地雷を踏んでしまった例をご紹介します。

 

相手のビリーフを否定して地雷を踏んでしまう例

例︰お金の感覚

幼少期に貧乏で、モノを欲しがったりお金をたくさん持つことは悪いことだという感覚を持っている人に対して

お金をもらわない事業なんてただの自己満足。自分はちゃんとお金も稼げる社会起業家になりたい。」

とプレゼンする。

この例の場合は「お金を持つことは悪いこと」というビリーフを否定しています。この場合、ビリーフを否定された相手は「お金をもらわない事業=自己満足」という論理が本当かどうかを確かめにかかります。(相手の言っていることが間違っていると証明したい)

もしそれでも論破出来ない場合は「でも、お金のことばかり言っている人の言うことなんて誰も信じないし、お金を追い求める人生は幸せになれない」等の人格攻撃が始まります。

 

では、相手のビリーフを踏まないように自分の想いを伝えるためにはどうすればいいでしょうか?

 

地雷回避の方法:ビリーフの延長線に乗せる

相手のビリーフを変えるのは非常に難しいです。(幼少期の経験を紐解いて行かなければいけないので、すごく時間がかかります。)

 

だから、こちらの打てる手段は「相手のビリーフを否定しないで自分の想いを伝える」ことなんです。

先程の例をこんなふうに変えてみます。

 

例︰お金の感覚

幼少期に貧乏で、モノを欲しがったりお金をたくさん持つことは悪いことだという感覚を持っている人に対して

お金をもらわない事業なんてただの自己満足。自分はちゃんとお金も稼げる社会起業家になりたい。

「社会起業をする上で無駄や贅沢は厳禁。持続的な経営が出来るよう、ちゃんと収益とコストのバランスを取っていかなければいけない。」

とプレゼンする。

どうでしょうか?

相手の「お金を持つことは悪いこと」というビリーフに対して「運営に最低限のお金しか稼がない」というニュアンスを出すことで、ビリーフを批判することなく「収益を出す(=お金を稼ぐ)」ことを伝えられています。

 

コツは「私が話すのはあなたのビリーフの延長線上の考えですよ」っていうニュアンスを出すことです。

 

相手の地雷を見つけるテクニック

では、相手の地雷(ビリーフ)を見つけ出すためには何をすればいいでしょうか?

ビリーフはコミュニケーションの中で見つけていくしかないのですが、その中でもオススメは「後の先を取る」という発想です。

 

会話の中で「後の先」を取る

例えば自分が「社会起業家はお金を稼がないと意味がない」と思っていたとしたら、会話の始めに「社会起業家がお金を稼ぐことをどう思いますか?」というような「ビリーフを引き出す質問」をしてみて下さい。

相手の反応から「どんなビリーフを持っているか」を読み取り、それに合わせた論理展開をすればいいんです。

ちょっと難しいと感じた方、大丈夫です。初回はほとんど上手く行きません

ですが、3人4人とこれを繰り返していくうちにだんだん「自分のやろうとしていることに対して他人が持っているビリーフのパターン」が見えてきます。

ある程度パターンが見えたら後はそのパターン毎に切り返しを考えておけばOK。ロジカルシンキングの練習にもなるのでオススメです。

まとめ

  • 相手のビリーフを否定すると警戒態勢に入られ、最後には人格を否定される
  • 地雷を踏まないためには「ビリーフの延長線上」に自分の意見を乗せる
  • 相手のビリーフを見つけるためには「後の先」を磨く
元ネタ

この記事の元ネタはロンドン大学のターリーシャーロット博士が2018年に出した脳科学のレビューです。