起業茶屋®こぼれ話|「やりたい、 でもできない」の正体

 

どうもこんにちは!
阿見町議会議員で、起業茶屋®主催の 筧田かけひだ さとし です。

8月22日に北千住で開いたAI回(開催レポはこちら)には、こぼれ話があります。参加してくださったお一人と、帰り際に交わしたやり取りが、私にとって今年いちばんの宿題になりました。

今日はその話を書きます。テーマは「やりたい、でもできない」です。

 

場にこぼれた、強い言葉

当日の茶屋では、AIを使いこなしている人たちの話がどんどん先へ進む場面がありました。振返りの時間には「技術に詳しい人同士で高い話をしていると、詳しくない人の感覚が見えなくなる」という声も出ています。

その流れの中で、参加者側からこんな言葉もこぼれました。

「やってない人は、サボってるだけ」

実際に動いている人には、やれば進むという実感があります。その実感は本物です。ただ、この言葉がどう聞こえるかは、聞く人の立ち位置で変わります。

会が終わったあと、参加者のお一人が帰り際に教えてくれました。あの言葉が、恐ろしく冷たく感じられたこと。「人によって状況が違うのでは」とその場で返したものの、解決策までは出せなかったこと。

 

「毎日15分」という、外れた処方箋

その方は40代。体をつかう仕事で、家計を支えるために睡眠時間を削って働いています。やりたいことも、はっきりあります。ただ、それを考える時間が取れない。周りからは「やりたければやるだろう」と見られる。本人の言葉を借りれば「やる気はある。やりたい。でも、できない」。

私は最初、「毎日15分、自分のための時間を作りませんか」と提案しました。よくある処方箋です。

返ってきた答えに、唸りました。

自分だけの時間は、実はもう、仕事の最中にあったのです。移動の合間の10分から60分。信号待ちのたびに、気になっていることをスマホのChatGPTへ投げている。動きながら、考えごとを少しずつ前へ進めている。

そして、こう続きました。

「これって、気付くか気づかないかの違いだったりしませんかね?」

この一文は、私が言ったのではありません。ご本人の言葉です。

 

足りないのは、新しい時間だけではなかった

このやり取りから、私はこう受け取りました。

少なくともこの方の「やりたい、でもできない」は、やる気の問題ではなく、置かれた状況の問題でした。体を使う仕事と、家計と、削られた睡眠。その状態で「新しく15分作れ」と言われても、積む場所がありません。

でも、よく見ると、この方はすでにやっています。信号待ちのAI活用は、まとまった時間ではなくても、やりたいことを前へ進めている時間です。足りなかったのは、新しい時間だけではありませんでした。すでに使っている細切れの時間を、自分の前進として認める視点も足りていなかったのです。私が出した処方箋は「新しく作れ」でしたが、教えられたのは「もう持っているものに気づこう」でした。

「四十を超えての体力の減退は侮れない」とも話してくれました。成功した人のやり方をそのまま真似るのは危ない、という指摘には、私も同感です。その人の方法は、その人の体力と生活条件の上に成り立っています。この方の場合は、成功者の型を持ち込むより、今の仕事の合間でできる形を大事にするほうが現実的だと感じました。

 

場の設計の宿題——立ち位置を最初に

そして、これは茶屋の設計の宿題でもあります。

アンケートには「みんなの立ち位置・レベルを最初に共有したかった」「どこまで踏み込んだ話ができているのか分からなかった」という声がありました。立ち位置を最初に共有しないと、できている人の基準が、そのまま場の空気になります。そして、状況の違う人は黙りやすくなります。

次からは、それぞれの席の役割を最初に言葉にしようと思っています。AIに詳しい人は、知っていることを持ち寄る人。これから試す人は、現場で困っていることを持ち寄る人。どちらが欠けても、この場は回りません。詳しくないことは遅れではなく、持ち寄るものが違うだけです。共催の原田さんからも「学びベースにふりたいですね」と提案をもらっているので、進行にも組み込みます。

 

どうすればいいか——意志ではなく、3つの手順

ここまで読んで、「で、どうすればいいの」と思った方へ。先延ばしについての心理学の解説に、私の宿題とぴたりと重なる話がありました。

先延ばしは、時間管理の問題ではなく感情の問題だとされています。面倒なことを前にすると「失敗したらどうしよう」「大変そうだ」という嫌な感情が先に立ち、脳はその感情から逃げる。掃除やスマホに手が伸びて、嫌な感情が消えると、その「楽になった」が脳への報酬になる。だから繰り返す。避けているのは仕事そのものではなく、仕事が呼ぶ嫌な感情だというわけです。

抜け方は、意志を強くすることではないとされています。3つだけ。

1. 感情に名前をつける。「今、自分は不安を感じている」と言葉にするだけで、感情と少し距離が取れる。あの方の「気付くか気づかないか」は、まさにこれでした。

2. やることを「開始」の大きさまで小さくする。「事業計画を書く」ではなく「メモ帳を開いて3行」。目標は完了ではなく開始。

3. 5分だけ始める。完成させなくていい。うまくやらなくていい。始める前の「嫌だ」のほうが、実際にやっている時間よりずっと重いことが多い、とされています。

そして、もう1つ。忙しく働いているのに「やりたいことだけ進まない」人は、すでに動いている場合があります。信号待ちの問いかけが、そうでした。新しい5分を探す前に、すでにある5分に名前をつける。それが4つ目です。

 

最後に

信号待ちの数十秒でAIに問いを投げている人が、「自分は何もできていない」と思っている。この一枚の絵を、私はしばらく忘れられそうにありません。

もしあなたが「やりたい、でもできない」の中にいるなら、新しい時間を探す前に——すでにやっていることが、どこかにありませんか? 通勤中に調べたこと、寝る前の5分のメモ、誰かに話した思いつき。名前をつけたからといって、状況がすぐ変わるわけではありません。ただ、自分がもう進めている部分を見失わずに済みます。そこから、次の信号は青に変わる気がしています。

ご意見・激励等ございましたら、気兼ねなくおっしゃってください!

ご覧いただきありがとうございました。
起業茶屋®の筧田 聡でした!

p.s. 「こんなテーマで話したい」があれば、ぜひ教えてください。次の場は、あなたの課題から作れます。

 

参考資料

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ABOUT US
筧田(かけひだ)
【 “いいものだらけ”の世の中へ。】を理念に、高校の同級生と共に、株式会社Key-Performance を創業し、代表取締役を務める。 「魅力的な起業家の集まりが地元にない!!」ことから、起業茶屋® を立ち上げ、5年で2000名を集客する。 現在は、人間観察サロン™、起業の作戦会議室™に力を入れている。