幹事は一番得をする|情報とつながりのセンターに座れるから

幹事論 幹事は一番得をする 情報とつながりのセンターに座れるから(カフェのテーブルを囲む人たちの真ん中で、幹事がノートを開いているイラスト)

 

どうもこんにちは!
起業茶屋®主催の 筧田かけひだ 聡さとし です。

忘年会の幹事が回ってくる季節なので、ずっと思っていることを書いておきます。

先に結論です。幹事は、一番得をする役です。得の正体は、お金でも感謝でもありません。情報とつながりのセンターに座れることです。

 

10年・300回、ずっと幹事の席にいた

2016年9月10日、土曜の朝7時。スターバックスつくば店に集まったのは3人でした。募集期間は、わずか2日。これが起業茶屋®の第1回です。

それから10年。常磐線沿いを中心に東京・千葉・茨城で300回開き、延べ3,800人と接点を持ってきました。そのあいだずっと、私は幹事の席にいました。

この10年で手に残ったのは、肩書ではありません。相談も紹介も新しい話も、まず幹事のところに届く。この状態です。

 

得をするのは、人と人の「間」に立つから

これは私の思い込みではないか。気になって調べてみると、研究でも同じ筋が出ていました。

社会学者のロナルド・バートは、アメリカの大手電機メーカーでサプライチェーンを担う管理職673人のつながりを調べました(2004年)。グループとグループの間をつなぐ位置にいる人ほど、給与・評価・昇進で上回り、出したアイデアも高く評価されていたそうです。グループの中では考え方が似てくるので、間に立つ人にだけ、ほかの人には見えない選択肢が見える、という説明です。

会社の管理職と、集まりの幹事。立場は違いますが、幹事の席は、この「間」に一番近い席です。参加者どうしはその日が初対面でも、幹事だけは全員と、事前にやり取りしているからです。

ただし、同じバートの別の研究(2007年)には続きがあります。仲介の得は、自分が直接つながっている範囲に集中する。人づてに情報を回すだけでは、ほとんど得にならないというのです。だからこそ、名簿を回すだけでなく、全員に自分で連絡を入れる幹事のほうに、手に残るものがある。私はそう読んでいます。

 

面倒な役ほど、いい席が付いてくる

思い返すと、私が引き受けてきたのは面倒な役ばかりです。

  • 阿見観光ガイドの幹事。町の観光計画の見直しでは、ガイドの現場を知る者として意見を聞かれました。現場の声が、計画をつくる側に届く席です
  • 阿見町議会の広聴広報特別委員会の委員長(昨年まで)。議会報告会の見直し、議会モニター制度の整理、高校生と議員が話す「放課後議員カフェ」高校版の初開催、他の市町村からの視察4件の受け入れを担いました。視察を受ける側に回ると、相手の議会から事前に質問が届きます。他の議会が今、何に取り組もうとしているかが先に分かる。それは、自分の議会の見直しにそのまま生かせます
  • 若手議員の会(茨城エリア)の事務局長。会費の回収役です。締切の前に、まだ確認が取れていない人全員へ、同じ文面で個別に連絡を入れます。だから、誰が今どういう状況かは、事務局長のところに一番先に集まります

どれも、やりたがる人の少ない役です。それでも、手に残ったものはどれも同じでした。情報と、つながりです。議員の役で集まったものは、議会と町へ返すもの。幹事の役で集まったものは、次の場へ返すもの。返す先は違っても、最初に届く席は同じです。

7月の起業茶屋®でも、「これからの時代は、あえて面倒な役割を取ることが重要」と話しました(開催レポ)。面倒な調整役を引き受けるほど、情報も人も自分のところに集まるからです。

職場の催しで幹事を経験した1,651人への調査でも、「よかった」「どちらかと言えばよかった」が合わせて87.5%、一番多かった理由は「世代の異なる従業員と接点ができた」でした(ミクステンド、2025年1月調査)。

 

先に動いた側が、信用を持っていく

幹事は、誰よりも先に動く役でもあります。日程を決め、店を押さえ、声をかける。まだ誰からも何も受け取っていない段階で、です。そして、先に動いた人のところに、返事も情報も最初に戻ってきます。

信用とは、相手に損をさせない力だと私は考えています。だから最初にギブする。それも、自分より上の人へ、覚悟を持ってギブする。

これにも研究の裏づけがありました。スタンフォード大学のフランシス・フリンらが7つの研究(参加者は延べ3,426人)で確かめたところ、同じ親切でも、先に動いた側のほうが、お返しをした側より周りから一目置かれる。お返しは「義務」と見られて、割り引かれてしまうのだそうです(2021年)。

私にも、時間をかけて返ってきたものがあります。2019年の夏、北千住で、当時は筑波学院大学にいた吉田賢一先生と、学生のプロジェクトを一緒に動かしました(当時の記録)。翌2020年には、先生の授業で「ホスピタリティ論」の講義を3回受け持っています。

そして今、大和大学の吉田先生との共同研究で、私が幹事をしている起業茶屋®が、研究の現場の実例になっています。幹事の席で集めてきたものが、研究という形で返ってきました。

 

損をする幹事との差は、設計にある

もちろん、幹事がいつも得をするわけではありません。押し付けられて段取りだけを背負い、自分には何も返ってこない。そういう幹事は、確かに損をします。幹事が損になるのは、窓口を手放したときです。

差は設計です。私はずっと、幹事役の人が全部持っていくと思ってきました。全部とは、情報とつながりのことです。だから、私が幹事をやるものは全部、それが自分に一番集まる形に設計しています。そう設計しないと、やっているうちにつまらなくなって、堂々巡りになるからです。

起業茶屋®でやっているのは、3つだけです。

  1. 申込の受付、前日の連絡、当日の案内を、全部自分から出す。開く前に、全員と一度はやり取りしている状態をつくる
  2. 当日、誰と誰を引き合わせるかは、自分が決める
  3. 終わったら、開催レポを自分で書いて公開する。次の相談が、自分に届く入口になる

自分で選んでいない幹事が回ってきたときも、同じです。コストになりそうだと思ったら、「どうやったら自分が楽しめるか」「どうやったら自分に利益が回ってくるか」に考えを切り替える。損する道は取りません。そして、連絡と段取りの窓口を自分に集めます。窓口を持った人が、センターに座るからです。

幹事は、貧乏くじではありません。センターの席の、入場券です。

次に幹事が回ってきたら、損得を数える前に、「どうやったら楽しめるか」から考えてみてください。

今年の忘年会の幹事、引き受けますか?

ご意見・激励等ございましたら、気兼ねなくおっしゃってください!

ご覧いただきありがとうございました。
起業茶屋®の筧田がお送りしました。

 

参考資料

 

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筧田 聡
起業茶屋®を2016年から主催し、10年で300回。起業の相談を聞き続けてきた場で見えた判断の型を、惜しみなくお渡しします。起業前は最初の1件が売れるまで「起業の相方™」、起業後は売れ続けるまで「起業の作戦会議室™」で一緒に進めます。まずは無料45分から。こう見えて、阿見町議会議員。